Jeanne32. ページ32
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窓の隙間から忍び込んだ揚羽蝶
不規則に飛ぶ蝶々を濡れた唇の中へと
誘い込んで_____
「喰ってしまうの」
鎖に繋がれた足首を擦る17歳の少女の周りには
破られた本が幾つも散らばっている。
+
____太宰の首を片手で締め上げ、壁に押し付けた中也はナイフを取り出し突き刺さる寸前でその手を止めた。
"「____太宰さん、」"
____昨夜のジャンヌ…Aの泣く声を
ふと思い出す。軽く舌打ちをした。
「ねぇ中也
最近のマフィア、Aに手を出す輩が
増えてると思うんだよねぇ
_____心当たりない?」
黙りだった太宰は顎を突き上げる。
俺はその煽りを鼻で笑った。
「俺がAを抱こうが抱かまいが手前には
関係ねェだろ。
_____マフィアを裏切った手前にはな」
「__A…ねぇ。
へぇ。名前呼ぶようになったんだ。」
好戦的な赤みがかった二つの瞳が揺れた。
一部の解けた包帯がだらりと垂れ下がる。
「____Aの紅の唇から零れる
ゲーテの言葉…」
"女は断じて己の有りの侭の姿を晒す事はない
___自然から産み付けられたままで、
充分に他者から愛されるという…
____男程の自惚れが、ないからである…"
太宰の言葉を聞き終えると同時に、背筋がぞくりと
誰かに人差し指でなぞられた感覚に陥った。
___光る猫のような目が前髪の隙間から
こちらを覗いている。
____実に官能的で、濡れた声色。
____そう、まるで…ジャンヌのようだった。
嗚呼、そうだ。
Aに房中術を教えたのは此奴だったな___
「___お前みたいな奴に惚れちまった理由を聞かされたが、…俺は未だにさっぱり理解出来ねェな。」
掌で締めている太宰の首に力を加えた。
太宰は苦しそうに顔を歪ませ、咳き込む。
「___ッ、なんて言ったの?あの子」
中也は暫くしてから、口を開いた。
「_____ジャンヌでもなく、毒でもない。
自分を、自分と呼んでくれるから。
_だとよ。」
吐き捨てるように呟くと、男は笑った。
「____はははっ…Aらしい」
「ちっ」
____ナイフを太宰の頬に掠らせ壁に強く
ぶっ刺した。
中也は太宰に情報を伝えると、背を向けて歩き出す。
そんな太宰は中也の背中を黙って見つめていると、突然「あっ」と何かを思い出したのか大声で叫ぶ。
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時