Jeanne26. ページ26
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Aの泣き腫らした瞼がゆっくりと閉じられていく。
「あらら、やりすぎたね」
首領は気絶したAを見て目を開いた。
手足の枷を外し、彼女を抱き抱える。
「芥川くん、後は頼んだよ」
「はい」
ジャンヌをやつがれに託し首領は部屋を後にした。腕の中でジャンヌを抱き、階段を上る。
__ジャンヌの部屋の前で足を止め、
ドアを開けようと片手を伸ばした。
「おい芥川」
声のした方へ振り返る。
「ジャンヌは俺が預かる」
酒癖の悪い事で有名なポートマフィア幹部
中原中也がそこにいた。
無言のまま少女を中也さんに引渡し自室に戻るため
足を進める。
「芥川___
手前それは恋だぞ」
中也さんの独り言は
やつがれの耳には届かず
+
「痛い…」
「泣くな」
目が覚めて、気がついたら自室にいた。
何故か中也さんが私の傷を手当してくれている。
消毒液が滲みて、ぐずる私を困り顔をしながら
中也さんは私の頭を撫でた。
「マフィアも首領も大っ嫌い
皆嫌い」
枕に顔を押し付けて泣いた。
私にとって、最も屈辱だった。
あの人にだって面と向かって言ったことなかったのに
誰にも言いたくなかったのに
私の意志とは関係なく次々に、簡単にあの人への
愛が零れてしまった。
鼻の奥がツンと痛んで目の縁から涙が染みでる。
___もう二度と会えない。
もう二度と、あの人に会えない。
もう、二度と____
呼吸をする度に肺が痛む。嗚咽が混じって掠れた情けない私の泣き声が静かな部屋に響く。
自白剤の効果は切れていた。
こんな時も私の体から溢れる香りは止まらなくて
人を酔わせてしまう。
一層の事、酔い殺してくれたらいいのに___
「ジャンヌ」
"優雅"を呼ばれて顔をあげると
窓から覗く赤い月明かりを背に中也さんがワイングラスに口をつけていた。
「___太宰を選ぶ理由はなんだ」
「…私太宰さんの事なんて、」
「厭、もう其ういうのいいからよ。
手前が太宰の事を想ってる事くらい見れば分かる」
この期に及んでまだ隠そうとする私を見て中也さんは
呆れていた。
飲み終えたワイングラスをテーブルに置いて、
私のいるベッドへと近づき腰掛ける。
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時