ジャンヌ 【文豪ストレイドッグス】

Jeanne11. ページ11

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爪痕が残る中原中也
みだれ髪の奥で微かに笑ったジャンヌ




「悪ぃな、ジャンヌ」




首元に残る幾つもの噛み跡


___中也さんは同じセリフをまた零す


ばら撒かれた服を拾ってシャツに腕を通して
ネクタイを締めた



「___いいぜ、別に」



昨日の中也さんを真似て私がそう言うと、彼はきょとんとした目をしてそれから鼻で笑った。




「__じゃあな」




優しく頭を撫でられて、中也さんは部屋を出た

___嗚呼、寂しい



「__汚れちまった悲しみに」

中原中也の異能力


静まり返った部屋に響く私の声を誰か拾ってよ


++



「あ、あの…国木田さん」


「なんだ、小僧」



目が覚めてから、虎である僕が闇市の70億円の懸賞金である事が判明した。


頭が混乱する中あの時、芥川と樋口さんと戦った時の記憶をふと思い出した。




「____あの…あの時…

虎になる前に、微かに香りがしたんです」



「___とてもいい香りで、でもずっと嗅いでいると頭がぼーっとする感覚に襲われて…

それから記憶がないんですけど、」




____一瞬だけど今でも鮮明に思い出す事が出来る。あの芳香。上品で、優雅で、今までに嗅いだ事のない香り。


気を失って虎になる前に見たのは、血と、芥川と樋口さん…それから怪我をした二人



「あいつだよ、小僧…

A ジャンヌ スワン

__あいつもあの現場にいたんだ

___その香りはあいつのだ」



「依存するなよ、小僧

奴の美貌も香りも、惚れ薬のようなものだ」





そう言い残して国木田さんは病室を去っていった




___嗚呼、あれが。

写真で見た、あの美少女。



あれが、彼女の…


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