No.12 ページ13
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あれから、何時間経ったのだろう
冷たい秋の風に吹かれて、ぼーっとしていた
四時間目終了のチャイムがなる
ああ、お弁当教室にあるのになあ。でも、申し訳ないけど、英には会いたくないな…。
放課後まで待って、みんなが帰ったら教室に行こう。
今日くらい、さぼってもいいかな…。
なんて思っていたのも束の間。
「やっぱりここにいた。お弁当、持ってきたよ。」
屋上の重たいドアが開いたと思えば、及川先輩が顔を出した。
「お、おいかわせんぱぁぁいい…!!!」
変な先輩だと思ってたのに。
やっぱり及川先輩はいい人なのかもしれない。
「わーわーどうしたのっ、一緒に食べよ?」
「はいっ…!!」
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2人でフェンスにもたれて座り、お弁当を広げた
「でも、なんでわかったんですか…?」
「いやぁ〜、琴ちゃんが大泣きしながら屋上からの階段下りてくるの見て、Aちゃんかなって。」
それを見て、お弁当まだ持ってきてくれるなんて本当に感謝でいっぱいだ
「で、何を話したの?」
私のお弁当から卵焼きをひとつ盗んだ及川先輩は優しく微笑んだ
「昨日及川先輩といたところを…英に…見られてたみたいで…」
話している時も、先輩は「うんうん」と真剣に聞いてくれた
「それで、白川さんは英のことを諦めてたのに、どうして英を傷つけるのって…、言われました。」
「そっかそっか…」
すると、頭に手が置かれた。
ぽんぽんと優しく撫でられ、涙が出そうになった。
「それは俺も悪かった。ごめん。」
ああ、いつもはあんなにチャラいのにこんなにも優しいからモテるんだろうな
「Aちゃん、いっぱい泣いていいよ。」
大きく手を広げる及川先輩に、思わず抱きついて大泣きしてしまった。
「どうして、こんなに優しくしてくれるんですか。」
「それは……。秘密。」
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作者名:もも | 作成日時:2017年11月19日 16時