世界一の秘密 2 【BTS】 (ページ8)

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your side

話が決まった次の日、すぐに彼らは準備を始めた。

たくさんの部下らしき人達が、部屋を行ったり来たりする。

「Aさん、脱走を成功させるために私の息子に変装して頂きたいのですが、よろしいですか？」

オールバックの人にそう聞かれて、私は人生で初のショートカットをすることになった。

まさかこのスタイルで生きていくなんて、このときは考えてもいなかった。

私が髪を切って、着替えたりし終わるのと同じ位に彼らの準備も終わった。

「それじゃあ、行きましょうか」

そう言ったオールバックの人に連れられて、意外とあっさりタワーマンションから脱出することが出来た。

私達は車に乗り込み、空港へと向かう。

過ぎていく景色を眺めながら、様々な疑問が浮かぶ。

どうして助けてくれたのか。

なぜ私はあそこに閉じ込められていたのか。

「色々聞きたい、って顔してますね。」

バックミラー越しに、オールバックと目が合った。

「詳しいことは言えませんが、昨日お会いしたカタコトの日本語を喋っていた方に頼まれて皆動いています。貴女をあの場所から解放することは、彼にとってもメリットなんですよ。」

話がふわふわし過ぎてて、「そうなんですか」としか言えなかった。

「Aさんは、かなり面倒なことに巻き込まれかけていたんです。それを見過ごせなかった、っていうのもあるんでしょうね。」

そんなことを話しているうちに、空港に到着した。

もう北海道行きのチケットもとってくれているらしい。

良く分からないうちに、たくさんお世話になっちゃったな。

「では、どうかお元気で。
もう捕まっては駄目ですよ。」

このオールバックも見納めかと思うと、少し寂しい。

『色々本当にありがとうございました！
このご恩は一生忘れません。』

私達は固く握手をして別れた。

しかし、私は自分で思ってるよりもずっと不運だった。

オールバックと別れて、30分もしないうちにカバンをひったくられてしまったのだ。

『泥棒！』と叫んだけれど、ここは韓国。
日本語は通じず、ひったくりを追いかけて見失い、知らない公園にたどり着いた。

そこで絶望していた私に、声をかけてきたのがビッグヒットのスカウトマンだった。