黒服のＷＥＳＴくん 2

二人の思い ページ12

Aside



神ちゃんに話しかけようとフロアに戻ると……



神山「Aさん……後ちょっとで休憩なんで待っててもらっていいですか？」



仕事中の敬語は普通なのに、さっきの喧嘩で冷たく感じる言葉。



貴『うん……』




10分後……





神山「お待たせ…」




貴『うん……』




どうしよ。沈黙辛いわ……



私は思い出していた。そう言えば神ちゃんは私に怒ったことがなかった。いつも優しく笑ってくれて、真剣に話を聞いてくれる。



辛いことがあれば一緒に泣いてくれたり嬉しいことがあったら自分のことのように喜んでくれて。




貴『あのさ』 神山「あのさ」



おっと……被った……


なんかドラマみたい。




貴『神ちゃんからでいいよ？』



ここは私よりも神ちゃんが話した方がいい。嫌いになったんやったら、嫌い。そう言ってくれれば楽や。




神山「あの……えっとさ。ごめん。」




神山は私の目を見て話しかけてくれた。



神山「俺…Aが嫌がってるのに、痛い思いしてるのに無理やり腕つかんで帰ってきて、変な態度とって……」






神山「女の子に乱暴なことして…A嫌やったよな？許してなんか言われへん立場やけど一言だけ謝りたかってん。」





なんで神ちゃんが泣きそうなんよ……涙



貴『う……ううん。こっちこそごめんな。』




貴『私…藤井さんのこと聞いたよ？神ちゃんは私のこと心配してくれてたんやろ？やのに…ちょっとでも神ちゃんのこと嫌な奴って思っちゃった……』




あかん……嫌われたかな…




貴『よく考えたら神ちゃん、私のために怒ってくれたんやろ？それだけ私は大事にされてるって思えた。だから、許して……』



神ちゃんはまっすぐ私を見て


神山「そんな……もちろん許すよ？だって大事な幼なじみやもん。」


神ちゃん……



貴『私だって許す。私の守ってくれ大事大事な幼なじみやもん。な？』



私たち2人は顔を見合わせて笑いあった。




神山「俺さしげに言われて謝りたいって思えてん。」



貴『私はのんちゃん……』




2人とも支えられてるねんなぁ……



神山「じゃあ……仕事戻る？」



貴『私も指名してくれるお客様そろそろ来ると思うし…』




私たちはこの時間を忘れへん。




だってあの幼なじみの絆が確かめられ、深まった１日やもん。

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