ヴァンパイア west

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藤井side


昔のことを思い出していると無意識にピアノの置いてある音楽堂へ来てもうた。




藤井(スンスン……Aちゃんの匂いする……)





俺は鼻がいいほう。一度嗅いだ匂いは忘れへん。この中におるねんな。そう分かった。




音楽堂に入ると目に入るピアノ。長らく見てなかったから誘われるようにピアノの前に座った。




藤井「弾けるかな……」





俺は教えてもらった子守唄をぎこちないけど弾いていった。






藤井(Aちゃんの事捕まえに来たはずやのに…)




分かってても手が止まらん。



藤井(懐かしいな……)



俺は昔のことを思い出していた。




貴『綺麗……すごく綺麗……』



後ろで声がしたので振り返ると今まさに追いかけているAちゃんが。




藤井「は？何言うてんお前のこと捕まえに来てんぞ？」



この子はアホなんやなぁ〜と思った。だって追いかけられてる側やのにのこのこでてきてるねんもん。





貴『なんで泣いてるの？』




挙句の果てには『なんで泣いてるの？』って俺泣いてないし……




藤井「泣いてなんか……」





頬に触れると無意識のうちに涙が出ていたらしく頬は濡れていた。




藤井「くそ……」





貴『私その子守唄の続き弾けるよ？』




そう言うとAちゃんは俺のことを怖がることなくピアノの前に座った。




♪〜





Aちゃんがピアノを弾き始める。




藤井「あれ……？」





ピアノを弾いているAちゃんが何故かあの時死んだ女の子にそっくりだった。






貴『ほらね？……ってみつかっちゃったね？』






俺はAちゃんを捕まえる気でいた。けど……






藤井「あーあ。なんか眠たくなってきた。寝よっと……」




そんな気にはなれず俺は床に寝転んだ。






貴『いいん……ですか？』




勝手にすればええ……



藤井「…ｚｚｚ」



Aちゃんはゆっくりと椅子から立ち上がり音楽堂を出ていこうとする。




貴『ありがとう……』


部屋を出る時そう言い残してドアがしまった。




藤井「気をつけるんやで……。」





俺は小さくつぶやいた。

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