ああ、そういう感じですねわかりません ページ5
「お待たせ致しましたレディ、鮭のクリームリゾットです」
不思議な動きでやってきたぐる眉の少年は私に暖かいリゾットが乗った皿を差し出した。
私はそれを受け取って口に運ぶ。
「美味しすぎるでしょ…」
「光栄です」
鮭の塩加減とクリームの程よい風味がマッチしてなんとも言えない旨みを醸し出している。
これはお店で出せるレベルでは？こんな海の上で漂流しているような女に出していい食べ物じゃないぞ！
「はあ、美味しかった。ありがとう、君はえっと…」
「ああ、俺としたことが自己紹介がまだだった。俺はサンジよろしくレディ」
「そのレディっていうの小っ恥ずかしいからやめて。私はA。気がついたら海の上を漂流してた記憶喪失の迷子だよ」
「お前迷子なのか」
「そう。帰り方どころか帰る場所すらわからない致命的な迷子」
そう言いながら私は空になった器を下げようと持ち上げた、のだが見事に手を滑らせたそれは床に向かって真っ逆さまに落ちていった
「「え、ええええ！？？」」
「浮いてる…」
「あ、サンジくんだっけ？君もその呪われた装備食べちゃった系男子？」
「呪われた装備、ああ悪魔の実のことか…。いや残念だがAちゃん、おれは能力者じゃないんだ」
「となるとその2人のどっちか？」
「いやいやいや俺じゃねえ！」
「おれもだ！！」
まあそうですよねー。明らかに驚き方おかしかったもん。当事者でその驚き方するやつは多分記憶喪失かなにかだと思うよ。ん？
「あのさ、ルフィの能力はゴムになる以外にものを浮かせたりできるの？」
「できねえぞ」
「わはは…マジで？」
「…………。」
静寂と視線が突き刺さる。この流れでいえばこの皿を浮かせているのは間違えなく私である。
皿を少し揺らして見るように念じてみれば皿はゆらゆらと思いのままに揺れる。
「これ、私がやってんのか…」
「自覚なかったんかい！」
「無いけど。でも私呪われたアイテムなんて……あ」
「何か思い当たる節でもあるのか？」
「ちょっと前に口渇と空腹に耐えかねて流れてきた謎の原色ぐるぐる模様のゲロマズみかん食べたわ」
「明らかにそれだーー！！？？」
「なんでこの流れで気が付かないんだよアンタ！」
「いや、流石に自分も呪われてるとか思わないじゃん…一生カナヅチかあ…」
「その時はおれが助けてあげるからねぇ〜Aちゃ〜〜ん！！」
「いやその動きどうやってんの？」
続く
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作者名：山ノ内 | 作成日時：2019年8月31日 20時
