ＭＩＮＤ 【白石蔵ノ介】

０８_FRIEND ページ10

「は、部長の彼女……？」

「おん、そやで」


ピアス君が唇をワナワナさせながら白石くんに問う。
ですよね――…私なんかが彼女になれるわけないですよね、よりによって誰の告白も受けたことのない白石くんですもの！！

全員の唖然とした表情に少し罪悪感を覚える。
みんなの視線が痛くて俯いていると、急に目の前が影って大きな下駄が視界に入ってきた


「君が白石の彼女さんと？むぞらしかね〜
　ばってん、俺はてっきり白石は苺ちゃんが好きなんかと思っとたばい」

「なんや、千歳もそう思っとったんか。よう言われんねや、それ…何でやろな？」

「仲いいからじゃなかと？」

「やっぱそうなんかな…苺は大切な仲間やのになぁ」

「白石はそう思っとっても、第三者の目には違って見える場合もあって当然たい」

「せやなぁ、」


それからも会話を続ける白石くんと下駄さん

なんだ、私来た意味ほぼないじゃん…嫌々来て損した。
白石くんには悪いけど、話し込んでるみたいだから早々に帰らせてもらおう。

そう思って、入ってきた扉に向かって足を進める。
下を向いていたから気づかなかったが、どうやら前方には人がいたらしい。


「った、」


ドン、という鈍い音がして、跳ね返された私は派手に尻餅をついてしまった


「うおっ！！堪忍な、立てるか？」

「ごめんなさい、私がよそ見してたから…」

「俺は大丈夫や。ほら、立ち」


目の前に現れたのは、先ほどはいなかった金髪のお兄さんだった。
そっと私に手を差し伸べてくれる彼の優しさに、涙が出そうになる


「俺な、忍足謙也言うねん。
　３年２組で白石と同じクラス。自分は？」

「あ、佐々木Aです。何ていうか…白石くんの彼女？
　うん、私は納得してないんだけどね。なんか成り行きで……」

「あぁ！もしかしなくても自分この前の電話で白石が言うとった『興味ある女』か！！
　あんなゲス野郎に捕まるなんて、不幸なやっちゃなー」


……ん？
彼は白石くんのゲスい性格を知っているのだろうか？

そう思っていたのが顔に出ていたのだろうか。
私が質問を口にする前に、忍足くんが答えを口にしてくれた


「俺これでもアイツの親友やねん。
　アイツは俺には変な自慢してくんねや。まあ、悪い奴ではないけどな」

「いえ、それはないです」

「即答かい！！」


どうやら忍足くんとはいい友達になれそうだ、そう直感した

０９_MANAGER→←０７_CLUB

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す