ＭＩＮＤ 【白石蔵ノ介】

０３_KINDIST ページ5

｢ふぇ──────………｣


思わず深い溜め息が口から零れる。

あれから１日経った
白石くんに言われた通り、携帯に彼のアドレスを一応登録しておいた

本当、昨日の事を思い出すだけで気分が悪くなる。
おかげで寝不足からくる頭痛が酷い。おまけに女の子の日ときたものだから最悪な事この上なし


｢あら、Aちゃんどうしたん？ 元気あらへんなぁ……｣

｢金色くん、｣

｢おはようさん！｣


辛くて机に突っ伏していた顔を上げると、今日も乙女な金色くんの姿が目に入った

疲れを感じさせないような笑顔を浮かべる彼は、
私の頬を優しく撫でてくれる


｢ううん。ちょっと寝不足なだけ
そんな事より金色くん、私の事はいいから一氏くんに構ってあげて？さっきから叫んでるよ｣

｢なあなあなあ、小春！かまってぇや!!｣

｢あらもう……ユウくんったら……｣


教室のど真ん中で叫んでいる一氏くんが嫌に目に入る。
私と金色くんは、ただただ苦笑いを溢すだけだ


｢でもAちゃん、本間に顔色悪いで？
次は自習やし、１時間保健室でゆっくりしたらどうや？｣

｢う…ん、そうだね。そうしようかな｣

｢おん、そうしとき！
監督の先生には私からちゃんと言うとくから｣


昨日の今日のせいか、
金色くんの優しさが胸にしみる。

私はありがとう、と呟いて３年８組の教室を後にした


──…誰もいない廊下を歩く

症状を自覚した途端、子宮の痛みと頭痛がｽﾞｸﾝ、ｽﾞｸﾝと激しく疼き始めた。
立ってるのも辛い、早く横になりたい

軋む体に鞭を打ち、私は足早に保健室を目指した


****


｢失礼しまーす…｣


ｶﾗｶﾗ、と軽い音を立てて扉を開ける。
瞬間医薬品の匂いがﾂﾝ、と鼻をついた


｢あらあらこんな時間に、どないしたん？｣

｢生理痛が酷いので休ませて欲しいんですが……｣

｢あらまあ…女の子は大変やね。でもなぁ、残念ながら私今から出張なんよ｣


困ったように笑う保険医の先生に何とも言えなくなる。
やっぱり教室に戻らなきゃいけないのかな……


｢あ、ええ事思い付いたわ。

そういえばさっき彼が包帯貰いに来てな。
ちょうど保健委員やし、この１時間だけ当番任せればいい話やんな｣

｢へ、｣

｢白石くん、おる？
ちょっとこの１時間この子介抱してあげてくれへん？生理痛が酷いんやって｣

｢は、｣

｢ええですよ。 な、佐々木さん？｣

｢嘘でしょ、｣

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