ＭＩＮＤ 【白石蔵ノ介】

１６_MEDICINE ページ18

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ、と階段を上ってくる足音がして、自室のドアが開く。
お盆に色々載せて持ってるのに、なんて器用に事をこなすんだ。白石くんは


「ほら、お粥でよかったやろ？薬と水もあるから、食べ終わった後に飲んどき。調理用具とかは勝手に使わせてもろたからな、早よ食え」

「………ヤダ。食べたくない」

「そういう訳にはいかんやろ……ほら、」


そう言ってお盆をいったんミニデスクに置いた白石くんは、私の手を取って無理矢理上半身を引っ張る。
必死の抵抗もむなしく、鍛え上げられた腕にいとも簡単にひっぱりあげられてしまった


「ん、ゆっくりでええから食え」

「………やだ」

「食わないつまで経っても治らんやろ」

「………いいもん」

「なぁ、何でそんなに嫌がってるん？俺が心配してやってんやで？」

「いや、そんな白石くんが作ったって考えると体が勝手に拒否反応起こす。口に入れたら吐きそうなくらい」


けっこう真剣に言ったら、
白石くんは持っていたお粥を口に無理矢理突っ込んできた


「むぐぅ！？」

「お前は俺を怒らせたいらしいなぁ？このクソアマが」


作りたてのせいか口の中が熱い熱い熱い熱い！！
ついでに白石くんに掴まれた前髪も痛い

やっとこさの思いでお粥を咀嚼して、食べ終わった瞬間即行で布団にくるまる。
こうなったらふて寝してやる…みたいな


「おい」


すると、すぐに上から声が降ってきた


「なによ、」

「お前薬飲まへんのか？」

「……だって白石くん買って来たの、錠剤タイプでしょ？」

「おん。市販は普通そやろ」

「私錠剤喉に引っかかりそうで飲めない。液体タイプじゃないと飲まない」

「……はぁ？いやお前、嘘やん。はぁ？」


何よ、別に嫌いなんだからいいじゃん。

そう言おうとしたら、白石くんが急に片手でほっぺを鷲掴みにしてきた。
握力がやばい、コイツ


「薬飲まな治らん。飲め」


白石くんに買ってきたらしい錠剤を口に突っ込まれた。
よくＣＭに出るような半分で色が分かれているようなやつで、結構大きい。


「もふぇ………ﾌﾟｯ！！」


耐えられなくなって、思い切りよく口から薬を吐き出した。
それはきれいな弧を描き、白石くんの額にクリティカルヒット

あ、ヤバ…白石くん青筋立った


「お前本間いちいちムカつくな――…ちょっと大人しゅうしとき」


なぜか、白石くんが自分の口に薬と水を含みだす。



「んむっ……！？」


気づいたら、またもや白石くんの顔が目の前にあった

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