fond.227 ページ32
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立ち上がり寝室にある自分の荷物を段ボールにまとめる。
すぐに帰れるようになんて軽く考えていた当時の私はクローゼットに来た時の段ボールもしまっていた。
馬鹿でしょ。
………こんなに辛いなんて思わなかった。
「全部持ってくのか？」
来た時よりも少し増えてしまった荷物を詰めたダンボールへ視線を落とす。
あぁ、先生がそう言うから置いていかれたのか。
あの荷物。
置いてくなんてことはしない。
これから先、先生が好きになった人にそんな思いはさせたくない。
…………そんな人、現れなければいいのに。
「先生には必要ないじゃないですか。」
車へ運び込むのを先生が手伝ってくれ、
もう一度部屋へ立ち入ることもなく車に乗り込んだ。
ゆっくりと動き出した車。
進むたび重い気持ちに包まれる。
少しの遠回りもせず真っ直ぐ目的地へ向かう。
通り過ぎてくれないかな……
とても静かな時間だけが無情にすぎていく。
アパートの前に止まってしまった車。
キーケースから合鍵を外した。
「お返しします。」
先生に差し出した合鍵。
そこへ伸ばされることのない先生の手。
「A、」
何で先生がそんな顔をするのか。
酷く悲しそうな顔に心臓がぎゅう、と痛くなる。
恋人ですら無かったのに。
行かないでくれ、と言われる事を
期待してしまいそうになる。
今、先生が発言を撤回するなんて絶対に無いことくらいわかる。
そのくらい先生のことは知ってる。ナメないで。
なのに……期待しちゃうから……
…………やめて。
これ以上惨めな女にしないで。
「…送ってくれてありがとうございました。」
合鍵を車のダッシュボードの上に置きドアノブに手をかけた。
「………お前はしっかりやれるよ。」
最後の最後まで優しい先生。
そこは鬼みたいな顔してて欲しかったな。
なんて数年前の卒業式と真逆のことを考えていた自分に笑ってしまう。
きっと私は
気持ちすら伝えることが出来ない先生に
ただ我儘をぶつけていただけなんだ。
歪み始めてしまう視界に「お世話になりました。」と告げ車を降りた。
二箱の段ボールを一度に持ち
振り向かず自分の家を開ける。
やっとうつことのできた終止符。
崩れ落ちるよう膝をつき
玄関に散らばった荷物は歪む視界で距離感すらわからない。
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くま(プロフ) - 暇人さん» コメントまで頂けたお気持ちが本当に嬉しいです🥺❤ありがとうございます！続編にて、無事完結させていただきましたので、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです😊！楽しんでもらえると幸いです♡ (2021年9月26日 11時) (
レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
暇人 - 親に制限かけられてるので、評価入れられないですけど、とっても面白いです！！更新楽しみにしてます！！ (2021年9月26日 10時) (レス) @page50 id: 6924eeb861 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - りかさん» コメントありがとうございます！！評価まで入れていただいてとっても嬉しいです！そう言って貰えるなんて喜びすぎて調子に乗ってしまいそうですーっお気持ち飛ばしていただければキャッチしますんで！笑、楽しんでいただけるお話をお届けできるよう頑張ります！！ (2021年9月16日 17時) (レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
りか(プロフ) - コメント失礼致します。なんで！評価が1回しか押せないのでしょうか…？本当にすっごくすっごく大好きな作品です(語彙力)作者様のご無理にならない程度に更新を楽しみにしております！！ (2021年9月16日 7時) (レス) id: f46f442970 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - ルークさん» 楽しみにしていただいてありがとうございます！更新頑張りますー！ (2021年9月14日 6時) (レス) id: 429e4ba01a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くま | 作成日時：2021年8月30日 18時
