叶わぬ恋に終止符を！【相澤消太】

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「大嫌いーーな相澤先生だもんね！」


食い気味に三奈ちゃんが当時の真似をした。

時が立ちすぎて似てるのかさえおもいだせないけれど。何度もネタにされすぎて私の中では三奈ちゃんの真似が正解になっている…


「もういい加減忘れてよー」


「好きやったんちゃうん？」


お茶子ちゃんの質問に少し考える。

好き……だったのかなあ。


「……憧れてただけだよ」


なんとも答えが出ずに氷の入ったグラスをテーブルで傾けカランと音を鳴らす。


「ほぉ〜熱烈な憧れだったよね〜」


出来が悪くて先生に見てもらう機会が多かった。距離が近かったのは確かだけど。
当人の私でさえ勘違いかもと微妙なのに…

…そろそろ話題を変えたい。


「…そんなんとちゃうし！」


お決まりのセリフを真似すれば目をパチクリさせたお茶子ちゃん。


「はっ！真似されとるぅ…」


テーブルを眺め恥ずかしそうにし始めるお茶子ちゃん。

何度でも言おう。天使。


「あはは可愛いお茶子ちゃん！」


そんな様子を眺めながら三奈ちゃんが
飲み終えたグラスを顔の横でゆっくり傾け
涼しげな音を2度ほど響かせた。


「爆豪とはどおなのー」


ニシッと口角を横へ大きく広げ聞いてきた。


「更なる上をいくなぜ爆豪くん」


ハッとした顔でこちらを向いたお茶子ちゃんに
最近の嫌な記憶が蘇った。


「あ！この間見たよおー！ニュースっ！爆豪くんとAちゃん映っとったね！」


「たまたま現場が一緒だっただけだよおー。事務所近いの知ってるでしょ。すごいカットされてたけど、現場で大喧嘩してウワバミにすごい怒られちゃったし…また減給だよ…！」


怒りのあまり軽く手を添えていたグラスを握れば掌に冷たさと水滴が広がった。


「あんたらも相変わらずだねえー」

「うんうん！爆豪くんも元気そうで何より」


完全に他人事だ。今度2人の事務所に爆豪くん連れて行ってやろうか！まったく。

握りしめていたグラスから手を離す。割りたくは無い。

2人の爆豪くん談議を聞きながら

軽いため息をこぼし、手についてしまった水分をおしぼりに染み込ませる。



ふとかなり近くに人の雰囲気。

これ以上いない参加者に、警戒してすぐそちらを向いた。

カーテンから見える体格的に男性か。


噂をすればなんとやら。
爆豪くんが現れたらお店を追い出される前に帰らなくては。なんて、アルコールのせいかぶっ飛んだ発想が湧く。

まあ現実問題
席間違い、あるいは誰かのファンだろう。



開いていくカーテン

全員の視線がそちらへ集まる。




開ききったそこには

すごく懐かしい姿があった。



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