５『綺麗だと』 ページ5
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店内を見回して、やはり私は場違いなのではないかと恥ずかしくなり始めた頃、ふと私以外の黒色が目に入った。
レジカウンターにじっと立つ、店員さんの黒髪である。
死角になっていて外からでは見えなかったため、王子様以外にも人がいたことに少し驚いていると、その人はジトっと私を睨むように見つめた後、つまらなさそうにふいと視線を逸らした。
「今日は一日雨ですね」
真後ろから声をかけられて大袈裟に肩を揺らしながら振り向くと、いつの間にこんなに近くにいたのか、王子様はニコニコとこちらに笑いかけていた。
初めて間近で見るその尊顔に釘付けになりながらも、辛うじて「そ、そうですね…」と答える。
周りの花に負けないくらい、本当に美しい顔立ちだ。
「ずっとそこで立ってましたけど、どうされたんですか？」
どうしたか、なんて。
どうと言われると、それは、だって……
「すごく、綺麗だと思って…」
花に囲まれた、貴方が。
たぶんこの時、私は花の香りに酔って、思考が正常でなかったのだと思う。
つい口走ってしまった本音に、はっと口を押さえた。
初対面の人に、なんてことを。
顔がみるみるうちに熱くなっていく。
気持ち悪いやつだと思われたんじゃないかと思うと、鼻の奥がツンとして、今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
顔を俯きかけたその時、頭上からンフフと高めの笑い声が聞こえ、思わずそっと視線をあげる。
すると、驚いたことに、王子様が嬉しそうに微笑んでいるではないか。
どういうことだと頭が混乱する中、王子様の口からその答えが。
「ありがとうございます、大事に育ててるんです」
宝物を褒められた子どものように、そう言ったのだ。
するすると顔の熱が引いていく。
ホッとしたというか、拍子抜けしたというか。
私は今にも膝から崩れ落ちそうになるのを、必死で耐えているような状況だった。
「何か買われます？」
「あっ…はい」
思わず反射的に返事をしてしまうと、すっかり上機嫌な王子様は「どれがいいですか？」なんて、瞳をキラキラさせながら私に問いかける。
正直、花に特別興味があるわけではなくて、強いていうなら王子様に興味があってここに来たわけなのだが、その人が嬉しそうに花を紹介するその声に、私は耳を傾けて、うんうんと頷きながらその話を聞いたのだった。
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ミラルカ(プロフ) - レンさん» コメント、ありがとうございます！わ〜よかったです！！ホッとしました 笑。後編も楽しんでいただけるように頑張りますね！ (2019年11月26日 0時) (
レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - じゅんぴの敬語、言われるまで気付きませんでした〜笑笑 この作品すごく好きなので続きが楽しみです！ (2019年11月25日 21時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - satoetu61さん» コメント、ありがとうございます！この二人が一緒にいる作品、なかなかないですもんね…意外な組み合わせかなぁと思っていたのですが、こうして喜んでくださる方がいて安心しました！後編もよろしくお願いします〜！ (2019年11月24日 23時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
satoetu61(プロフ) - 楽しみに読ませて頂いています。私の3人の推しの中の,2人スングァン、ジュンが出てくるので嬉しくて。2を楽しみにしています。 (2019年11月24日 23時) (レス) id: 02f0e3e684 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - ねこ娘さん» バ、バレておりましたか！鋭いですね…さすがです！(笑)主人公ちゃんがどのような答えを出すのかは、後編までのお楽しみということで…お待ちくださいませ〜〜！ (2019年11月24日 19時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミラルカ
| 作成日時：2019年10月18日 22時
