37『こんなこと』 ページ37
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ああ、なんてことを。
クスクスと微かに私を笑う声が聞こえる。
一人じゃない、複数人だ。
やがてそれは小さな渦のようになって、私を呑み込んでいく。
いつの間にか、私のことを“そういう目”で見る人は、先輩だけではなくなったらしい。
それがどうしようもなく怖くて、苦しい。
しかし、それ以上に私を苦しめたのは、机上の惨状のだった。
ジュンフィさんが似合うと言ってくれた向日葵が、今や見るも無残な姿になっている。
向日葵にも負けない、あの笑顔が脳裏をよぎって、私は思わず顔を俯かせた。
「……っ」
自然と肩が震える。
掌に爪が食い込むほど強く拳を握りながら、私は息を吸った。
「Aちゃ…」
「誰ですか」
心配そうに私の名前を呼びかけるスングァンの声を遮って、顔を上げる。
ようやくオフィス内をまじまじと見渡し、自分がいかに多くの視線を集めているかを悟った。
「こんなことしたのは…誰なんですか」
その声は、恐怖と怒りが混ざり合い、微かに震えていた。
周りの冷たい視線に負けじと鋭い眼差しで睨みつけると、だんだんと私に向けられていた目が、あっちへそっちへと逃げていく。
私のひとことで一度しんと静まり返ったオフィスが再び生気を取り戻したのは、数秒後だったように思う。
まるで何も無かったかのように、動き出す時間。
悔しいような、ホッとしたような、複雑な気持ちだった。
机の上に散らばった花びらを一枚一枚集める。
皮肉なことに、ぐしゃぐしゃにされても尚、眩しいその黄色は美しかった。
咲いていたら、もっと綺麗だったのに。
「…ごめんね」
ぽつり、と謝罪の言葉が自然と落ちる。
ジュンフィさんにお世話をされていた頃はさぞ幸せだっただろう。
それが私に買われたばかりに、こんなことになって。
…もう、ここにお花を持ってこない方がいいのかな。
なんて考えると、初めて机上に花を飾り、その華やかさにうっとりしたあの時を思い出して、また悲しい気持ちになってしまった。
「…Aちゃん」
そっと声をかけられたかと思うと、ふわりと温もりに包まれ、驚く。
振り返ると、ワイシャツ姿のスングァンが、苦しそうな顔をして立っていた。
「風邪ひくよ」
肩に掛けられているのは、彼のスーツジャケット。
「ありがとう」と僅かに笑みを作ると、スングァンはさらにギュッと眉を寄せた。
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ミラルカ(プロフ) - レンさん» コメント、ありがとうございます！わ〜よかったです！！ホッとしました 笑。後編も楽しんでいただけるように頑張りますね！ (2019年11月26日 0時) (
レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - じゅんぴの敬語、言われるまで気付きませんでした〜笑笑 この作品すごく好きなので続きが楽しみです！ (2019年11月25日 21時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - satoetu61さん» コメント、ありがとうございます！この二人が一緒にいる作品、なかなかないですもんね…意外な組み合わせかなぁと思っていたのですが、こうして喜んでくださる方がいて安心しました！後編もよろしくお願いします〜！ (2019年11月24日 23時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
satoetu61(プロフ) - 楽しみに読ませて頂いています。私の3人の推しの中の,2人スングァン、ジュンが出てくるので嬉しくて。2を楽しみにしています。 (2019年11月24日 23時) (レス) id: 02f0e3e684 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - ねこ娘さん» バ、バレておりましたか！鋭いですね…さすがです！(笑)主人公ちゃんがどのような答えを出すのかは、後編までのお楽しみということで…お待ちくださいませ〜〜！ (2019年11月24日 19時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミラルカ
| 作成日時：2019年10月18日 22時
