26『驚いたのは』 ページ26
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「あ、おかえりミンハオ。遅かったね〜…あれ?」
軒下に出していたお花を店内へ閉まっているジュンフィさんが、私を目の中に入れると、その動きをピタリと止めた。
「Aさんだ〜」
「こんばんは」
「ビックリしたあ。今日は来ないのかな〜って丁度思ってたところだったんですよ」
ジュンフィさんが自分のことを少しでも気にしていてくれたことに、胸が高鳴る。
別に私だけが “特別” なんかじゃないのは、もう十分わかっているけれど。
「すみません、遅くに…もう閉めますか?」
「いえ!Aさんがいる間は開けときます。ごゆっくりどうぞ〜」
私を中へ促すように手を広げるジュンフィさんに思わず笑みをこぼしながら、「じゃあ…お言葉に甘えて」と傘を閉じた。
「ミンハオ、Aさんと帰ってきたの?」
「さっきそこで会っただけ」
ミンハオくんは自転車を止めると、ジュンフィさんが先程までしていたお花の店入れを手際よく済ませる。
あっという間に仕事を片付け、店の奥へ向かおうとする彼に、ジュンフィさんが「ご飯は〜?」と声をかけると、彼は振り返らないまま素っ気なく「食べてきた」と答えた。
リアルな兄弟の会話に、つい頬が緩む。
「あー…あと最後にさ」
「ん?なに?」
振り返ったミンハオくんの瞳は、返事をしたジュンフィさんではなく、間違いなく私を写していて。
私が首をかしげると、彼はニヤリと得意げに口角を上げた。
「ヒョン鈍いから、たぶんハッキリ言わないと伝わんないよ、A」
颯爽と消えていくミンハオくんの背中を見送りながら、私はぴしりと固まる。
本人の前でそんなことを堂々と言わないでくれ、という焦り以上にビックリしたのは、
『A』
彼が私のことをそう呼んだことだった。
これにはジュンフィさんも相当驚いたらしく、大きな目をぱちぱちと数回瞬きした後、私にこう問いかけたのだ。
「…Aさん、ミンハオと仲良くなったの?」
「あ、え…まあ…?」
私も動揺を隠しきれず曖昧な返事をすると、ジュンフィさんは「ふ〜ん」とゆっくりそれを飲み込んでいる。
「……いな、なんか」
消えかけの言葉に「え?」と聞き返せば、彼は「ううん」と首を横に振って、「よかったあ」と私にふにゃふにゃの笑顔を作った。
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『劣情に隠さないで』
貴方 × ディノ(sub ... ミンギュ)
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ミラルカ(プロフ) - レンさん» コメント、ありがとうございます!わ〜よかったです!!ホッとしました 笑。後編も楽しんでいただけるように頑張りますね! (2019年11月26日 0時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - じゅんぴの敬語、言われるまで気付きませんでした〜笑笑 この作品すごく好きなので続きが楽しみです! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - satoetu61さん» コメント、ありがとうございます!この二人が一緒にいる作品、なかなかないですもんね…意外な組み合わせかなぁと思っていたのですが、こうして喜んでくださる方がいて安心しました!後編もよろしくお願いします〜! (2019年11月24日 23時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
satoetu61(プロフ) - 楽しみに読ませて頂いています。私の3人の推しの中の,2人スングァン、ジュンが出てくるので嬉しくて。2を楽しみにしています。 (2019年11月24日 23時) (レス) id: 02f0e3e684 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - ねこ娘さん» バ、バレておりましたか!鋭いですね…さすがです!(笑)主人公ちゃんがどのような答えを出すのかは、後編までのお楽しみということで…お待ちくださいませ〜〜! (2019年11月24日 19時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラルカ | 作成日時:2019年10月18日 22時