23『それなら』 ページ23
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つい口走ってしまったことに、後悔はなかった。
ただ、先輩はそれがどうにも気に食わなかったらしく「はあ？」と色っぽく染まっている唇には似合わない声を発する。
それはまるで、心が凍ってしまうくらいの冷たさだった。
「なに正義感振りかざして、いい気になってんの」
「別に、そういう…」
「ものは大事にしましょう、みたいな？Aさんってほんと考えが子どもだね」
「かわいー」と言って口角を上げた先輩の目は、少しも笑っていない。
「いい？先輩として教えてあげる。そういう考えはね、大人になったら捨てるんもんなの。それに、賢い大人は目上の人間にいちいち突っかからないものなんだよ」
ああ本当に、大人だの子どもだのという言葉が最近よく付きまとう。
社会人になって、世間的にはすっかり“大人”と認識される歳になったのに、精神的にはまだまだ幼くて、子どもと大人の狭間をふらふらと行き来しているような、そんな状態なのだろうか。
「それなら、私は…子どもでいいです」
「なにが？」
「そんな、人が大切に育てたお花を粗末にするのが大人だって言うなら、私は子どもでもいいです…！」
「…呆れた。そんなんでジュンくんにいい顔しようとか思ってるわけ？」
ジュンくん、という言葉に大きく心臓が跳ねる。
ジュンくんとは明らかにジュンフィさんのことで、今その名前を引き合いに出されるとは思わず、ひやりと背筋に冷たい感覚を覚えた。
「Aさんもどうせジュンくんのこと狙ってんだろうけど、アンタみたいなお子ちゃまなんかに彼がなびくと思う？」
鋭い言葉を受けて、胸がズキリと痛むのを確かに感じながらも、私はふつふつと頭に血が上り始めていたのだと思う。
「だとしても、私はお花をそんな風にしてほしくないです。それに…先輩みたいな人も、ジュンフィさんは好きにならないと思います」
自分の口から、こんなに強気な発言が出てきたことに驚きながらも、今更引くことはできず、震える手でぎゅっと傘の柄を握り締めながら先輩を見据えた。
先輩はついに顔をカッとさせて「…ほんと生意気」と言いながら私に近づいてくる。
何をされるのかわからない恐怖に、思わず目を瞑った。
しかし、しばらくしてもただ雨音が聞こえるばかりで何も起きない。
恐る恐る目を開けると、そこには信じられない光景があった。
瞳に映るは、闇夜に溶け込む黒髪。
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ミラルカ(プロフ) - レンさん» コメント、ありがとうございます！わ〜よかったです！！ホッとしました 笑。後編も楽しんでいただけるように頑張りますね！ (2019年11月26日 0時) (
レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - じゅんぴの敬語、言われるまで気付きませんでした〜笑笑 この作品すごく好きなので続きが楽しみです！ (2019年11月25日 21時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - satoetu61さん» コメント、ありがとうございます！この二人が一緒にいる作品、なかなかないですもんね…意外な組み合わせかなぁと思っていたのですが、こうして喜んでくださる方がいて安心しました！後編もよろしくお願いします〜！ (2019年11月24日 23時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
satoetu61(プロフ) - 楽しみに読ませて頂いています。私の3人の推しの中の,2人スングァン、ジュンが出てくるので嬉しくて。2を楽しみにしています。 (2019年11月24日 23時) (レス) id: 02f0e3e684 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - ねこ娘さん» バ、バレておりましたか！鋭いですね…さすがです！(笑)主人公ちゃんがどのような答えを出すのかは、後編までのお楽しみということで…お待ちくださいませ〜〜！ (2019年11月24日 19時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミラルカ
| 作成日時：2019年10月18日 22時
