13『対照的な』 ページ13
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颯爽と消えていった背中に「もう!」と頬を膨らませる今のジュンフィさんには、ぷんぷんという擬音が相応しく、とても怖いとは言い難い怒り方だ。
「どうもすみません」
「い、いえ…こちらこそ…」
「ミンハオはちょっと人見知りなところがあって…だけどすごく優しい子なので」
「仲良くしてあげてください」と続いた言葉に、表情を強張らせたまま「はい」と頷く。
あれは人見知りというか…完全に私が嫌われていると思うのだけれど。
もともと私が悪いのだし、彼を責める気にはなれないが。
「このお花屋さんは二人で経営されてるんですか?」
「いえ、僕はそうですけど、ミンハオはアルバイトです。まだ学生だから」
「が、学生さん!?」
驚く私とは対照的に、ジュンフィさんは当然とったように頷いた。
大人っぽいから、てっきり自分より歳上だと思っていたけれど、どうやら違ったらしい。
それでも私とそんなに歳は変わらないはずだが、同い年のちんちくりんアンパンマンがふと頭に浮かんで、今時の子は大人びてるなあなんて感傷に浸る。
「そうだ、お詫びにと言ってはなんだけど、今日は一本お花をプレゼントしますよ」
「え、そんな…いいですよ、悪いし…」
「ううん、こっちが申し訳ないことしちゃったんだし、気にしないで」
うろたえる私を置いて、「どれがいいですか?」なんて話をとんとんと進めていくジュンフィさん。
どうやら引くつもりがないらしいことを悟り、私はとりあえずお言葉に甘えることにした。
「じゃあ、このカーネーションで…」
私が指を指すと、ジュンフィさんは「はーい」と返事をしながら一本引き抜き、慣れた手つきでくるりとビニールに包んでいく。
おまけに真っ赤なリボンをつけて、「どうぞ」とピンクのカーネーションをこちらに差し出すその姿は、さながら王子様のよう。
お礼を述べながらそれを受け取ろうとすると、なぜかひょいと取り上げられてしまい、私は訳がわからず目をぱちぱちさせた。
「ここで、花言葉クーイズ!」
彼の口から出た予想外の言葉に、さらに困惑する。
「ピンクのカーネーションの花言葉は?」
「え?あ、えっと…確か “美しい仕草” …でしたか?」
すると、ジュンフィさんは「ピンポーン!」と自ら正解の音を鳴らしつつ、私に花を渡した。
無邪気な彼の姿に、私は思わず吹き出す。
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ミラルカ(プロフ) - レンさん» コメント、ありがとうございます!わ〜よかったです!!ホッとしました 笑。後編も楽しんでいただけるように頑張りますね! (2019年11月26日 0時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - じゅんぴの敬語、言われるまで気付きませんでした〜笑笑 この作品すごく好きなので続きが楽しみです! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - satoetu61さん» コメント、ありがとうございます!この二人が一緒にいる作品、なかなかないですもんね…意外な組み合わせかなぁと思っていたのですが、こうして喜んでくださる方がいて安心しました!後編もよろしくお願いします〜! (2019年11月24日 23時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
satoetu61(プロフ) - 楽しみに読ませて頂いています。私の3人の推しの中の,2人スングァン、ジュンが出てくるので嬉しくて。2を楽しみにしています。 (2019年11月24日 23時) (レス) id: 02f0e3e684 (このIDを非表示/違反報告)
ミラルカ(プロフ) - ねこ娘さん» バ、バレておりましたか!鋭いですね…さすがです!(笑)主人公ちゃんがどのような答えを出すのかは、後編までのお楽しみということで…お待ちくださいませ〜〜! (2019年11月24日 19時) (レス) id: 0059877645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラルカ | 作成日時:2019年10月18日 22時