私を拾ってくれませんか？【Fischer's】【シルクロード】

拾ってくれませんか？ ページ4

A side

______________私を拾ってくれませんか？


つい口から出た言葉。 いや、私何言ってるの？
初対面の人になんて事を言ってるんだ。
待って待って絶対何だこいつって思われてるって……


『いいよ。 おいで。』


ん？ 今何て言いましたかお兄さん？
おいでって？ へ？
そんな初対面の女の子に何言ってるんですか？


｢おいでって……へ？｣

『ん？ 拾ってやるってば。 帰ろうか。』


その人はとてもきらきらした笑顔を浮かべていた。


帰ろうか、なんて言われたことがなかった。
所長はとても厳しい人だったし。
お母さんはいつの間にか居なくなるし。
人体実験は物凄く痛かったし。
研究所から一歩も出た事が無かったし。
誰も私を“見ないフリ”していたし。


そんな優しい声で優しいこと言わないで。
今まで一滴たりとも流さなかった涙が頬をつたう。



『泣かないで。 何かあったら、俺が守ってやる。』



涙を拭うその手は大きくて暖かくて優しかった。



単純かもしれないけど


気の迷いかもしれないけど


私、この人が好き。

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