私を拾ってくれませんか？【Fischer's】【シルクロード】

であい。Silk side ページ3

シルク side


コンビニ帰りの曲がり角でぶつかった
中学生くらいの女の子。
すごい勢いで走ってたらしく
ぶつかった途端ふっとんでいってしまった。

『きゃっ、ごめんなさい……！』

え？めっちゃ可愛い声じゃん？
よく見れば普通に可愛い子だし、なんか申し訳ない。

｢いえいえ、こちらこそごめんなさい。｣

ちょっと潤んだ目はとても愛らしくて
きっとみんなに愛される子なんだろうなって思った。

｢大丈夫ですか？怪我はない？｣

こんな冬なのに薄着で走ってコケたんだ。
どっか痛いだろうって思ってた。

でも

『うぇっ！？ぜ、全然平気です！！』

思いっきり顔の前でブンブン手を振っていた。
心配しないで、とでも言うように。
やる事成す事全てが可愛い。何だこの子。

俺の心臓はバクバク鳴っていた。
一目惚れがあるならきっとそういうものなんだろう。
こんなのは久しぶりだった。


そんな想いも知らずに
彼女はキョロキョロと辺りを見回していた。

｢ん？どうかした？｣

『あ……大丈夫かな、って。』

まるでなにかに追いかけられてるかのように
怯えた顔をしているその子。
まさか受刑者で脱獄とか……？いやそれはないか。
でも格好的には入院してたけど脱走したとか？
そんなやばい子なの？


とか一人で勝手に考えていたら
女の子はホッとしたように息をついた。

｢え、どうしたの？まさか何かに追われてるとか？｣

そんな事を冗談混じりで言ってみたら
女の子はビクッと肩を震わせた。


｢……まさか当たってたりする？｣


恐る恐る聞いてみた俺に
女の子は突然凄いことを言ってきた。



『おねがい！私を拾ってくれませんか？』

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