私を拾ってくれませんか？【Fischer's】【シルクロード】

であい。 ページ2

A side


ここから逃げなきゃ。
こんな所で一生を過ごしたくない。


そう思って走り続けて約1ヵ月。
今まで運動してこなかった私は自分の身体を恨んだ。

｢なんで1ヶ月でこれだけしか走れないの……｣

正直イライラしてた。今頃福島くらいでもいいのに。
愛知から走って今は東京。多分、いや絶対遅い。

これも全部、そう、あいつのせい。
あいつが居なかったら、私はきっと幸せだったのに。

｢頭いたいし足もいたい、つかれた。｣

ぼそっと空気に向かって呟いた。
まぁ誰も助けてはくれないんだけど。

でもさ、分かってるけど言いたい時ってあるじゃん？
やってらんないって感じで。

今の私、まさにそんな感じです……


どうせだったら誰か拾ってくれないかな。
もう動ける自信が無いし。
そんな人が現れてくれたらいいのにな。


ずっとそう思ってたけど
どうやらずっと走り続ける私は｢おかしい｣らしい。

外へ出ても結局私は独りなんだ
と思うのに1ヶ月は充分な時間だった。
やっぱり図々しいのかな。


｢はぁっ……いったん休憩、つかれたよ……｣


体力はほぼ0の状態。
精神的にも、もう走る気力なんて無い。


｢いつまで逃げればいいんだろう。｣


誰にも聞こえない声で呟いた時
ちょうど曲がり角から男の人が出てきて
思いっきりぶつかってしまい、転けてしまった。


｢きゃっ、ごめんなさい……っ！｣

『いえいえ、こちらこそごめんなさい。』


目つきがわるくて顔は怖いのに。
謝るその声はとてもやさしくて。

『大丈夫ですか？ 怪我はない？』

どうしてこんな事聞いてくれるの？


こんなに心配されたのははじめてで
どうしようもなくドキドキしてしまっていた。


_______________もしかして、恋？

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