お題【不知火】 ページ7
.
静かな波音。黒とも青とも呼べぬ暗がりに包まれているここは海。
...何故、私はこんなところにいるのか。
いや、理由は分かっている。最近クラスで耳にしたある“噂”、それに興味がわいたからだ。
その噂とは『夏の夜、海に行くと妖怪に会う。そしてその妖怪に一部の記憶を取られる』というもの。少々オカルト好きな私には、それはまるで砂の中からお宝の地図を見つけたのと同じぐらい興味を引かれる話だった。
それに、私には忘れたいと思う人がいる。……自分の両親だ。
子供のことには興味がなく、いつも自分のことばかり。声をかけても忙しいだの後にしろだの……。
だからもし本当ならその人たちの記憶を消して欲しい、そんな気持ちも少しはあった。
しかし、だからといって素直にその噂なんかを信じてこんな海に来た自分が阿呆みたい、堤防沿いを歩きながらそう思う。
もう帰ろうか、歩みを止め来た道を戻ろうとするとふと海の真ん中に小さな灯りが見えた。
ゆらゆらと不自然に揺らめくそれは一つといわず三つも四つも灯り、気が付けば海を埋め尽くしているではないか。
もちろん船なんかじゃない。もっと軽く、不気味な…………。
手を海に伸ばしかけた、その時だった。
意識が宙に浮かぶような感覚が起こり、ぐらりと視界が揺れそのまま地面に倒れた。
消えていく意識の中、何人かの子供の笑い声が聞こえたような気がした。
「大丈夫ですか? 意識はありますか?」
朝方、海の周りを見回っていた男は堤防の近くで倒れている少女を見つけた。
慌てて声をかけると、すぐその少女は目を開け、今の状況を男に聞く。
「ここで倒れていましたよ。ご両親と連絡は取れますか」
すると少女は一瞬驚いた顔をしてから申し訳なさそうに言った。「私、親いないんです」
____ねぇ、噂の”不知火”って妖怪知ってる?
夏の夜にね、海辺に現れる妖怪なんだけど
その妖怪を見た人はね
＿＿＿＿＿＿『自分のことを一番大切にしてくれる人』との記憶を消しちゃうんだってさ
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
お題(挑戦状?)の【不知火】でした。
作者の名前でもあるんですけど、意味全く知らなくてですね。
夏とかの夜に船の光が不自然に反射する不思議な現象のことらしいです。
遅くなりましたが、ナズナさん、リクありがとうございました!
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
不知火(しらぬい)(プロフ) - 類々さん» 分かって頂けましたか!良かったです。書いてて自分でもこれ分かりづらいなぁと思っていたので......。長らくお待たせしてしまい申し訳ありません...。はい、頑張ります!コメントありがとうございます! (2016年11月14日 15時) (
レス) id: 40bbea7726 (このIDを非表示/違反報告)
類々(プロフ) - リクエスト書いてくださりありがとうございました！ タイトルの意味を見たときなるほど！となりました。これからも作者さんのペースで更新頑張ってください (2016年11月13日 20時) (レス) id: 58953b7c61 (このIDを非表示/違反報告)
不知火(しらぬい)(プロフ) - 星の夜さん» おぉ、こんなにたくさん...。もちろん構いませんよ!ですが、作者の時間が若干なくて少し待っていただくかもしれません...。それでも良いのなら全部書かせてください!コメ、リク、ありがとうございます! (2016年10月16日 22時) (レス) id: 40bbea7726 (このIDを非表示/違反報告)
星の夜 - リクエストしまくっていいですか？「ナイフ」「自分嫌い」「雨の中」「血」「枯れた桜」「愛に餓えて」←ナイフと血に関してはもう気にしないで書いて下さい。題名っぽいのも気にしないで下さい。多いですよね…ごめんなさい。 (2016年10月12日 23時) (レス) id: ada47a0c32 (このIDを非表示/違反報告)
類々(プロフ) - 不知火(しらぬい)さん» ありがとうございます！ のんびり待っていますね〜 (2016年10月11日 18時) (レス) id: 58953b7c61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
