38 you ページ38
自分でも不思議な位ペラペラと過去の自分の事を口にしてしまった
テヒョンは元々そんなに口数が多い方ではないけど
静かにあたしの言葉を拾ってくれてるのがとても心地良くて
今まで見ない振りしてた自分のあの頃の気持ちと向き合えてる気持ちになった
こんな話されてもテヒョンは困るだろうに…
でもこの時のあたしは止めることが出来なかったんだ
ずっとソンジュさんに見合う女になりたいと背伸びをして
無理して勝手に壊してしまった心に
無理して勘違いしたいい女像に振り回されてたかっこ悪い自分に
やっと向き合えてる気がした
話してる間テヒョンはずっとあたしの手を握ってくれて
暖かくて優しくて
いつもやんちゃで全然あたしの言う事聞かないで怒られてるばっかりだった少年のテヒョンの手が
知らない内にあたしの手を包み込むくらい大きな男の人の手になってる事に不思議と安心感が生まれ
あたしの心を解していく
不思議な気持ちだった
話し終わった後心も身体も凄く軽くなって
あぁ、あたしはもぉ何年も前に進めてる様で全然進めてなかったんだと
仕事は出来るようになったかもしれないけど
女としては何も変わってなかった
仕事が出来れば必然的にいい女になれると思ってた
でも実際は何も変わってなくて
廊下でソンジュさんに腕を掴まれた時
真っ直ぐ目を見られた時
完全にあの時に戻ってしまってた
TH「ヌナ…………泣かないで
ヌナはちっとも悪くない………ヌナはとても魅力的な女性だよ
自分の事低く評価しないで
働いてる時もそうじゃない時もヌナはいつもキラキラしてて素敵だと思う
少し……少しだけ肩の力抜いて誰かに甘えても大丈夫」
テヒョンの長い指で零れ落ちた涙を掬われると
そのままテヒョンの大きな胸の中に包まれていた
あ…………あたし
泣いてたんだ
泣きたかったんだ…………
あの時の自分がやっと救われたような気がした
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作者名：紫音 | 作成日時：2020年6月14日 14時
