月食の夜にまたここで。【神谷浩史】1st

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お風呂は朝入ることにし、着替えて寝る準備をした




神谷さんは床に毛布を敷いて、私はベッドに入った






神谷｢じゃ、おやすみ 何かあったら起こしてね｣





A｢はい おやすみなさい｣




電気が消され二人きりの静かで暗い空間になんだかとても緊張した





A｢…起きてますか？｣





話を切り出したのは私だった




神谷｢起きてるよ 寝れない？ 早く寝ないとお化けか僕に襲われるよ｣




今までこういう神谷さんのジョークは軽く受け流せた




だが、今はなんて返せばいいか分からなくて焦った



A｢な、何言ってるんですか｣




神谷｢ごめん(笑)｣






しばしの沈黙が続く




A｢あの、今日は話聞いてくれてありがとうございました｣






返事を待つ時間が長く感じる




神谷｢うん｣





A｢私、お父さん達は私のために頑張ってくれてるって事を見失ってました｣




A｢だから、｣




神谷｢無理してる｣



神谷さんがさえぎるように言った




A｢え…？｣





神谷｢強がってる 分かってるから｣




神谷｢Aちゃんはすごく優しい｣





神谷｢今日の子猫だって見て見ぬふりをした人がたくさんいたと思う｣






神谷｢今だってお父さんお母さんは悪くないって｣





神谷｢でもたまには人に甘えた方がいいよ｣





ああ、この人は



何でこんなにも温かいんだろう




A｢…ありがとうございます｣

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