第百三話 ページ9
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呼吸を整え、少し冷静を取り戻した私は実弥の手当を受けていた。
『…ッ早く、行かなきゃ…』
実「…!麻友…?」
『無惨が、復活する…ッ』
唇をグッと噛み締めると血の味が滲む。
集中してないのに、何故か先の先が視える。
あと数秒で鴉がここにやってきて、私たちに伝令を伝えに来るだろう。
そっと目を閉じる。
父さん、母さん、姉さん、兄さん…杏寿郎、しのぶ、無一郎、玄弥…
…私が必ず仇を摂る。
この命賭けてでも。
「復活ッ!!無惨復活!!柱ハ至急集結セヨ!!集結セヨォオ!!」
鴉が叫ぶ。
耳元で琵琶の音が鳴り、私はゆっくりと目を開ける。
無「…来たか。」
『無惨』
私の目の前にはスっと目を細め、私を見下ろす無惨。
「「麻友ッ!!」」
私の後ろには、いつの間にか炭治郎と義勇がいる。
『チッ…実弥と悲鳴嶼さんと引き離して何がしたい。』
無「ふん。私の目的はお前を取り込むことだからな、君影麻友。」
『はっ…ふざけるな…ッ…ここまで来るのに、何百、何千の人間を喰ってきたにも関わらず、まだ足りないかッ!!!!私の家族や炭治郎の家族…ッ…沢山の隊士たち、お館様まで手にかけてッ!!!!!ふざける「しつこい。」…ッ…は、?』
無「お前たちは本当にしつこい。飽き飽きする。心底うんざりした。口を開けば親の仇、子の仇、兄弟の仇と馬鹿の一つ覚え。お前たちは生き残ったのだからそれで充分だろう。」
空気が凍る。
何、を…?
本気で、本気で言ってるのか、
本気で、ッ…
無「身内が殺されたから何だと言うのか。自分は幸運だったと思い、元の生活を続ければ済むこと。」
炭「お前は何を言ってるんだ?」
無「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え。何も、難しく考える必要はない。雨が風が山の噴火が大地の揺れが、どれだけ人を殺そうとも天変地異に復讐しようという者はいない。」
無惨が言葉を連ねる度、私の心臓が脈打つ。
刀が何かに反応するようにカタカタと動き出す。
無「死んだ人間が生き返ることはないのだ。いつまでもそんなことに拘っていないで、日銭を稼いで静かに暮らせばいないで良いだろう。殆どの人間がそうしている。何故お前たちはそうしない?理由はひとつ。鬼狩りは異常者の集まりだからだ。異常者の相手は疲れ『_れ。』…」
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はりぼ(プロフ) - 感動で泣いてしまいました。久々にこんな神作を読ませて貰いました。ありがとうございます。とても感情移入しやすくて本気で号泣してしまいました、、、 (3月4日 1時) (レス) @page27 id: 18e8a9f028 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - とても感動しました! 本当にこういうお話が読みたかったので、嬉しかったです! (2023年5月4日 12時) (レス) @page27 id: 1d25fc6b83 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - お話読ませていただきました!実際にありそうなストーリーでとても引き込まれました。それぞれのキャラクターの気持ちがよく表現されていて面白かったです! (2023年2月10日 19時) (レス) @page27 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
由利 - 凄く感動しました!本当にあったように感じました!(?) (2022年10月3日 22時) (レス) @page27 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2022年4月30日 18時