第百話 ページ6
*
『玄弥ッッ!!!!』
片腕を失い、残った右腕で刀を抜く。
しかし、また斬り落とされる。
玄「ぐぁっ…!!」
黒「ふむ…そうか…鬼喰いをしていたのはお前だったか…」
上弦の壱がそう呟いた途端、私の背筋が凍る感覚に襲われる。
『ッやめ__ッッッ!!!!!!』
私が駆けだす前に玄弥の身体が真っ二つになった。
やめろ、やめろやめろやめろやめろッッ…
玄弥を見下ろし、私に背を向ける上弦に向かって、私は走り出していた。
とどめを刺すように刀を抜く上弦の壱。
『させるかあああああああッッッ!!!!!』
毒の呼吸_伍ノ型 毒牙怨憎・絡繰舞い__。
そう頚を狙って、地面を蹴り上げた瞬間だった。
私の横を疾風の如く駆け抜ける”何か”。
『ッ!?』
身体を旋回させ距離をとると、そこに居たのは…
黒「風の柱か…」
実「その通りだぜ。テメェの頚をォ捻じ斬る風だァ」
『実弥…っ!』
っはは、やっぱりあんたは…
弟の危機に駆け付ける立派な兄だよ。
実「おい麻友ッッッ!!!!」
『…!!』
実「俺がこのクソ野郎を始末してる間に時透を助けだせェ!!」
『ッ分かった!!』
実弥が駆け出したタイミングで私も無一郎の方へと走り出す。
時「麻友…ッ…」
『今助けるからッ…!!引き抜くよッ…!!』
柱に足を付け、思い切り刀を引き抜く。
無一郎の口から苦痛の声が漏れる。
刀が抜け、支えを失った無一郎が私の腕の中に収まった。
時「あり、がと…ッ…」
『ッごめん、私がもっとしっかりしてれば「うるさい。」ッ…!』
時「僕達は鬼殺隊だ…自分の身は自分で守らなきゃならない、だから、自業自得。麻友は何も悪くない。」
『ッ無一郎……ッ!?』
背後から爆風に近い風が私たちを吹き付ける。
無一郎を庇いながら砂埃の奥に目を凝らす。
細切れになった柱が崩れ落ちる中、その真ん中で上弦の壱と、
『さ、ね……』
大量の血を流しながら戦い続ける実弥。
あんなボロボロで、そんなに動いたらッ…
時「不死川さんッ!!」
全身の血が沸騰するくらいに怒りが沸きあがる。
柄に手をかけ応戦しようとした時だった。私の肩に重みが加わる。
『…なっ……ぁ、』
その重みは、私が振り返ると同時に無くなり、その代わり安心だけを残していった。
127人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はりぼ(プロフ) - 感動で泣いてしまいました。久々にこんな神作を読ませて貰いました。ありがとうございます。とても感情移入しやすくて本気で号泣してしまいました、、、 (3月4日 1時) (レス) @page27 id: 18e8a9f028 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - とても感動しました! 本当にこういうお話が読みたかったので、嬉しかったです! (2023年5月4日 12時) (レス) @page27 id: 1d25fc6b83 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - お話読ませていただきました!実際にありそうなストーリーでとても引き込まれました。それぞれのキャラクターの気持ちがよく表現されていて面白かったです! (2023年2月10日 19時) (レス) @page27 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
由利 - 凄く感動しました!本当にあったように感じました!(?) (2022年10月3日 22時) (レス) @page27 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かふぇらて | 作成日時:2022年4月30日 18時