第九十八話 ページ4
*
『ッはぁッ…はぁッ…!!しの…ッッッ!!!!!』
勢いよく襖を開けたらそこは地獄絵図。
しのぶが血を流して蹲っている。
童「あれぇ?まぁた女の子だ!」
ドクンドクンと心音が響く。
こいつは、カナエを殺った鬼では?
対の扇、この話し方…
前にしのぶに聞いた特徴と完全に一致する。
しかも何この有り得ない数の女性の死体は…
し「ッゴロゴロ…ッ」
『ッしのぶッ…!!!』
肺を斬られたのかッ…
童「ちょーっと待った」
しのぶの元へ駆け出そうとする私の行く手を鬼が阻む。
『退けッ!!!毒の呼吸 参ノ型 金鎖毒骨ッ!!!』
瞬時に日輪刀を薙刀の形に変え、鬼を斬り捨てる。
童「ッ!!君も毒使い…?」
一瞬怯んだ隙に私はしのぶの元へ。
『しのぶッしのぶッッ!!』
今にも泣きそうな私を見て、しのぶはゆっくり首を振った。
泣くなと言いたげに。
童「ごめんごめん、半端に斬ったから苦しいよね」
『ッ!!近づく…しのぶっ…?』
口から血を吐いて、足取りも覚束無いのに、しのぶはゆっくりと確かに立ち上がった。
やめて、やめてよ…
『無理しないでよっ…私が、私が殺るからッ…』
し「ゴフッ!!ゴロゴロッ…」
『しのぶッッ…!!嫌だよッ…!!』
しのぶは私の目を真っ直ぐ見つめる。
”貴女はこれ以上見てはいけない”
そんなことを言われた気がした。
行きなさいと、ここで立ち止まってはいけないと
そう言われた気がした。
『ッし、のぶ姉さ、ッ…』
し「…!ふっ…」
遂に涙を流す私を見て、しのぶは柔らかく微笑んだ。
そして私に背を向け、鬼を見据える。
行けと言うんだね
『ッわかった、ッ…わかったよ…ッ…!!しのぶ姉さんッ…大好きッ…ずっと、ずっと…ッ!!家族を失った私を愛してくれてありがとうッ…!!』
ありったけの声で叫んで、私はまた部屋を飛び出した。
涙が、止まらない
苦しい、
嫌だ、ッ…
もう、視たくないよ…ッ
そう願った瞬間に飛び込んできた映像は
しのぶが鬼によってへし折られ、殺される場面だった。
『ッあ"ぁぁぁぁぁッ!!!!!』
泣き叫びながら私は前に進んだ。
だってしのぶがそう望むから
『無惨ッッッッ!!!!!!!』
***
無「ふん、やれるものならやってみろ小娘」
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はりぼ(プロフ) - 感動で泣いてしまいました。久々にこんな神作を読ませて貰いました。ありがとうございます。とても感情移入しやすくて本気で号泣してしまいました、、、 (3月4日 1時) (レス) @page27 id: 18e8a9f028 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - とても感動しました! 本当にこういうお話が読みたかったので、嬉しかったです! (2023年5月4日 12時) (レス) @page27 id: 1d25fc6b83 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - お話読ませていただきました!実際にありそうなストーリーでとても引き込まれました。それぞれのキャラクターの気持ちがよく表現されていて面白かったです! (2023年2月10日 19時) (レス) @page27 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
由利 - 凄く感動しました!本当にあったように感じました!(?) (2022年10月3日 22時) (レス) @page27 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2022年4月30日 18時