第百十七話 ページ23
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婚礼服に身を包んだ私たちは、婚礼の儀が始まるまで二人でのんびりと過ごしていた。
善「幸せにするからね」
『うん』
善「二人くらい子供欲しいなぁ。男の子と女の子。麻友に似てきっと可愛い子になるんだろうなぁ」
『善逸に似た子が生まれて欲しいな』
善「えぇ!?俺ぇ!?やだよー。俺に似たら情けない男になっちゃう」
『そんなことないよ。肝心な時は凄く勇敢で、身を呈してまで助けてくれる。芯の強い子になるよ。』
善「も、っ…もぉぉぉ!!!褒め殺しやめて!!照れちゃうでしょおおお!!」
『事実だもん。…ここまで来るのに、色んなことがあったんだから。』
私の手には、柱全員の鍔が握られている。
儀式中持ってろって、昨日渡された。
善「死ぬまで一緒にいるんだからね。もう、先駆けは許さないからね」
『うん、分かってる。これからは、二人で。』
夫婦前最後の口付けを交わす。
カ「麻友」
炭「善逸」
「『…!』」
ゆっくり振り返れば、炭治郎とカナヲが微笑みながら立っている。
カ「そろそろ…」
炭「始まるぞ。二人の晴れ舞台。」
善「んふふ〜。よし、行こうか、麻友」
嬉しそうに頬を緩めて、私に手を差し出す。
『ん、行こう』
自身の手を重ね合わせると、歩幅を合わせて歩き出した。
蝶屋敷の三人が襖を開けると、ずらりと並ぶ顔見知り。
みんな私たちを祝福してくれてる。
一歩ずつ前へ前へと歩く中、縁側の方から視線を感じてそちらにチラリと視線を移す。
『…っ…!』
そこには、柱のみんなが
優しく微笑んで、見守っていてくれていた。
『っぅうっ…』
善「…!麻友?」
『っみんなが、来てくれてる、っ…』
隣を歩く善逸は突然泣き出す私を心配してくれていたが、私の言葉に眉を下げて微笑んだ。
善「よかったねぇ。ほら、ならしっかりしなきゃだろ?しのぶさんに怒られちゃうぞ」
『うんっ…うん…っ…』
結局、儀式が終わるまでずっと私は泣いていた。
みんなのおめでとうって言葉が、聞こえてきた気がして、嬉しくて、この場にいないことが寂しくて…涙が止まらなかったんだ。
輝利哉様から受け取ったみんなの遺書を読んで、また泣いた。
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はりぼ(プロフ) - 感動で泣いてしまいました。久々にこんな神作を読ませて貰いました。ありがとうございます。とても感情移入しやすくて本気で号泣してしまいました、、、 (3月4日 1時) (レス) @page27 id: 18e8a9f028 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - とても感動しました! 本当にこういうお話が読みたかったので、嬉しかったです! (2023年5月4日 12時) (レス) @page27 id: 1d25fc6b83 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - お話読ませていただきました!実際にありそうなストーリーでとても引き込まれました。それぞれのキャラクターの気持ちがよく表現されていて面白かったです! (2023年2月10日 19時) (レス) @page27 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
由利 - 凄く感動しました!本当にあったように感じました!(?) (2022年10月3日 22時) (レス) @page27 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2022年4月30日 18時