第百十三話 ページ19
＊
麻友side
『ッッ…！！！』
薄れゆく自分の意識の中で、善逸の声が木霊した。
こんな、こんなところで私も死にたくない
みんなと…善逸と生きていきたいよ…っ…
『たす、…けて……帰りたい、…よ…』
善逸が成功してくれたのかはわかんないけど、さっきまでどんだけ足掻いても抜け出せなかった無惨の肉壁から、右腕が抜けた。
善逸…ッ…
無「帰ってどうなる」
『ッ…！！』
私の腕に絡みつく無惨の残骸。
私の身体を乗っ取ろうとまだもがいてる。
無「家族は皆死んだ。お前が守ろうとしていた仲間もだ。お前が帰ったところで、お前を歓迎する者は居ないだろう。」
『ッ…そ、んなことッ…』
無「お前が生きることは望まれていない。」
『そ、んなッ……こ、と……』
私の心が蝕まれそうになる。
そんなこと絶対ない。
必死に、私を救おうとしてくれた。
一緒に生きようって言ってくれた。
私は、帰らなきゃならない。
必死に上に手を伸ばし、肉壁から抜け出そうとする私を後押しするように、背中が押された。
『っぁ……』
暖かい…
無「お前は私の意志を継ぐ者。前を向くな。人を信じるな。希望を見出すな。鬼でなくなれば、お前か私を殺すために作った自身の毒で、ろくな生活は送れないだろう。自分のことだけを考えろ。目の前にある無限の命を摑み取れ」
無惨の手が私の頭部を掴んで、動きを制止させようとする。
『永遠の命を手に入れて何になるんだ。周りの人はいなくなってしまうのに。無惨、お前と私は始まりも終わりも共に、なんてことは出来ない。』
無「お前だけ生き残るのか？大勢の者が死んだというのに。」
『…お前は、孤独だな無惨。お前は部下にさえ生きることを望まれていなかったな。でも、私は生きろと。幸せになれと…勇敢に戦場に散っていった仲間に未来を託されてる。こんなところで終われない。私は、お前と違って待ってくれている人がいる。ほら…』
私の背を押す力がグッと強くなった。
数は、七。
涙が溢れる。
私には、…私の心の中には仲間がいる。
ずっと、ずっと一緒に、そばにいる。
だから、お前には絶対負けないんだよ無惨。
無「こんなものお前の妄想だ。恥を知れ！やめろ！！」
私の目の前に降りてきた手。
この手を、私は知ってる。
「麻友っ…！！」
『善、いつ…』
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はりぼ(プロフ) - 感動で泣いてしまいました。久々にこんな神作を読ませて貰いました。ありがとうございます。とても感情移入しやすくて本気で号泣してしまいました、、、 (3月4日 1時) (
レス) @page27 id: 18e8a9f028 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - とても感動しました！ 本当にこういうお話が読みたかったので、嬉しかったです！ (2023年5月4日 12時) (レス) @page27 id: 1d25fc6b83 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - お話読ませていただきました！実際にありそうなストーリーでとても引き込まれました。それぞれのキャラクターの気持ちがよく表現されていて面白かったです！ (2023年2月10日 19時) (レス) @page27 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
由利 - 凄く感動しました！本当にあったように感じました！（？） (2022年10月3日 22時) (レス) @page27 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かふぇらて | 作成日時：2022年4月30日 18時
