相反恋愛 Ⅲ【ドラコ・マルフォイ】 (ページ16)

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Story 108 ページ16

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お兄様は自嘲気味に話す。

諦めたような、悲しいような声で

アラ「俺はと言えば、母上に似て賢いだとか、冷静だとか…そんなことばかり。母上のことは勿論尊敬しているし、母上のような人に似ていると言われて光栄だ。でも、俺の憧れは父上なんだ。小さい頃からあの背中に憧れて育った俺からしたら、母上に似ていると言われるのが、悔しくてならなかった。自覚はしてた。俺よりマユの方がディオリスの血を濃く引いていること。…認めたくなかった、気付かないふりをしていたかった、なのに、」

その続きは言われなくても心当たりがあった。

ハリーの尋問のために本部に集められた時、シリウスに言われた言葉がお兄様の中ではずっと引っかかってるんだろう。

正直、あれは私も複雑な気持ちになったから。

アラ「シリウスや、父上を昔から見てきた友人が口を揃えてマユは父上に似てると言うなら、そうなんだろ。俺なりに、何とかその事実を飲み込もうとした。した、けど…無理だった…だって、ずっとずっと憧れて…っ…俺は…っ…」

『おに、…さま…』

ここまで追い詰めるつもりはなかった。

ただ、私を分かって欲しかった

ほんとにそれだけだったのに

本音を言わせることで、お兄様をさらに傷つけてしまったかもしれない。

お兄様に手を伸ばそうとしたけど、原因の私が易々と触れていいものなのかと、手が止まる。

アラ「どうしても、父上のように、なりたかった…強くて、勇敢で、愛に溢れて、闇の魔法使いから恐れられる存在、立派な人に、…。でも、俺はなれない。根本的に素質がない。例のあの人が、お前を狙っているなら…俺が守ってあげたかったんだ。大切な、妹だから…。お前より弱い俺が何を言っても無駄なんだろうけどな、」

『そ、そんなこと…』

悲しげに笑うお兄様に、心臓がチクリと痛む。

お兄様は弱くない。

だって、私はお兄様を見て魔法を勉強してきたんだ。

知識だって、お兄様の方が遥かにある。

その知識を応用出来ればすぐにお父様レベルの魔法使いになれるはずなんだ。

でも、今はそんなこと言えない

私が何を言ったって、無駄なんだ。

私はお兄様じゃないから、お兄様の気持ちは分からないし、無責任なことを言えない。

ただ、私を思っていてくれた事はよくわかった。

『みんな、ごめんなさい…後、ありがと、』

私が俯いてそういえば、みんなは優しく微笑んで頷いた。