第九十九話 ページ4
*
杏「麻友…あ、雨辻先生!!」
『…!』
誰もいない渡り廊下。
煉獄は一人歩く麻友を引き止める。
杏「…」
『…なんでしょう?』
杏「…雨辻先生は、前世の記憶ってあると思いますか?」
なんて遠回しに言う。
単なる自己防衛だ。
麻友に過去の記憶があるとは限らない。他の教師達のように。
『面白いことをおっしゃいますね』
くすりと笑う彼女に、煉獄はあぁ、覚えていないんだなと落胆する。
杏「は、ははは!急に失礼した!!では、俺はこれで『皆息災で何よりだ。』っ…ぇ…」
顔を勢いよく上げれば、まるで愛しい者を見るような目で煉獄を見つめていた。
『立派に、育ててくれたようだな。あの子たちを』
杏「は……っ…」
『…会いたかった、”杏寿郎”』
杏「き、おくが…ある…のか?」
杏寿郎、確かにそう呼ぶ彼女と昔の麻友が重なる。
『お前を探して生まれてきたのだから、あるに決まってるだろう?私は元雨柱、雨辻麻友…そして、炎柱である煉獄杏寿郎の妻の、煉獄麻友だ。』
一筋、二筋と煉獄の頬に涙が伝う。
そして、縋るように麻友を抱きしめた。
『随分と時間がかかってしまってすまなかった。また、一緒にいられる』
麻友も煉獄の胸に顔を埋め、幸せそうに掠れる声で呟いた。
杏「俺が迎えに行きたかった」
『わがまま言うな。』
そんな二人はお互いに顔を見合わせて…
「『ぷっ…あはははっ!!』」
幸せそうにキスをした。
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北狐(プロフ) - 更新お疲れさまでした、完結おめでとうございます!最後までとても楽しませていただきました…!本当にありがとうございました!! (2021年10月23日 19時) (レス) @page6 id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月23日 11時