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第七十七話 ページ33








『…降りると言っても、私の身体の自由がきくまでは続けようと思う。』





杏「うむ。」





『私が、柱を降りたら…煉獄は、…』





杏「俺がどうした」





『煉…獄、はっ……』





我慢していた涙がポロッと零れ落ちる。





煉獄は私を見つめたまま目を逸らさない。





真剣に聞いてくれている。





『煉獄は、っ…!私の元から離れて行ってしまうだろうか…っ…!』





ボロボロと涙を流しながら胸の内を叫ぶ。





柱としてではなく、一人の女として。





母上が仰っていた。





自分自身を失ってはならないと。





これで幻滅されてしまったとしても、これが私だ。





後悔はない。





『っあ…!?』





少しの沈黙の後、突然私の視界が反転する。





目の前には煉獄の顔。





床に組み敷かれて動けない。





杏「誰が誰から離れて行くって?」





『れ、煉獄が…私から離れて行く…と…』





私がそう言えば、煉獄は大きなため息をついた。





杏「今更俺が君から離れて行くと思っているのか?」





『っ…わ、からないだろ…!戦えない私はお荷物なのだから…』





顔を顰めながら目を逸らす。





自分で言って辛くなる。





そうだ、私はお荷物だ。





足でまといに___





杏「俺から目を逸らすんじゃない。」





『…!』





杏「俺は心底君に惚れ込んでいる。君と出会って十二年。ずっと君を追ってきたんだ。やっと手に入れた君を、今更離せるわけが無い」





『煉獄…』





私の頭を撫でながらゆっくりと言葉を紡ぐ。





杏「君が雨将殿の跡を継いで柱になった時、君に追いつこうと努力した。父上に認められたかっただけじゃないんだ。君から離れたくなくて努力をしたんだ。そこを間違えるな。」





知らなかった。





煉獄がこんなことを思っていたなんて。





私だけが追っているものだと…





杏「何度でも言おう。俺は君から離れないし、離す気もさらさらない。言っただろう?麻友と共に生き、共に死ぬと。この言葉に嘘はない。」





『れ、っ…んごくっ…』





ああ、私の愛しい人はなんて暖かいんだろう。





杏「君がどんな選択をしても、ずっと一緒だ。」





『っうわぁぁぁっ…!』





煉獄に抱きしめられながら泣きじゃくる。





好きだ。





心から煉獄との永遠を願う。





杏「愛してる。」





『私も、愛しているよ…』





なんてはにかむと、口付けの雨が降ってきた。





幸せな雨だった。

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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時

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