第六十九話 ページ25
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あの後、一頻り泣いた竈門と嘴平を、何とか促して我妻と妹の元へ向かわせた。
泣きながら歩いていく二人の後ろ姿を見送り、その場には私と煉獄だけになった。
杏「麻友___」
突然、全身から力が抜けて身体が後ろへ傾いていく。
踏ん張ろうにも何処にも力が入らない。
杏「麻友ッッ!!!!!!」
地面と激突する間一髪のところで煉獄に抱きとめられた。
『はッ…は……そ、う言えば…ッ…私、は…死にかけ、だったなぁ…ッ…』
興奮状態だったせいか、身体の痛みや限界に全く気づかなかった。
今更になって全てがドッと押し寄せてくる。
杏「話すなッ!!!もうすぐ救護班がくるッ!!」
『わ、かった…ッ…わかったから、ッ…叫ぶな…ッ……お前も、ッ…重症だ…ッ…』
杏「何を言っているんだ…ッ…!麻友に比べたらこんなものッ…!!」
いつからか泣かなくなった筈の煉獄の瞳が潤んでいる。
そんな顔をされたら、私が助けたことが無駄みたいじゃないか
『…煉獄、を…守れただけで…十分だ…ッ…』
震える手を押さえながら煉獄の頬に手を伸ばす。
優しく撫でてやれば、その手を掴んで頬を擦り寄せてきた。
杏「麻友が…無事じゃなきゃ意味が無いんだッ……」
『はッ…ぁ……煉獄、は…鬼殺隊ッの……光だから、…ッ…死なれたら、困るんだ…ッ…』
呼吸をする度に空気の漏れる音がする。
やめてくれ、まだ死ねないんだ。
煉獄と夫婦になるのが…次の夢なんだ…
それまではせめて…
杏「麻友…?麻友ッ…!?目を瞑るなッ!!開けろッ!!」
『や、かましい……少し…ね、る……だけ、…だ……』
杏「麻友ッッ!!!!!!」
目が覚めた頃には、きっと…蝶屋敷だ。
私の事だ、一日二日で目が覚めるさ…
もう、眠いんだ…
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時