雨と炎は交われない弐【煉獄杏寿郎】 (ページ20)

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第六十四話ページ20

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あと少しで煉獄の目が潰れてしまうところだった。

そんなこと絶対にさせない。

あの優しい目が…笑顔が見れなくなるのは、嫌だ。

猗「自分の武器を投げてまで守りたいかッ！！」

『当たり前だッ！！！私の煉獄を傷つけることは誰であろうと絶対に許さんッ！！！貴様など以ての外だッ！！』

猗「愛の力というやつかァ？」

ゲラゲラと小馬鹿にしたように笑う猗窩座。

笑えばいい。馬鹿にすれば良い。

これこそ人間の戯言かもしれないが、私はそれでも煉獄を守りたい。

愛する人を、傷つけたくないんだ。

しかし…刀を失ってしまった。

生身で行くか？

…流石に無謀すぎるか、

杏「参ノ型_気炎万丈！！！」

『ッ…！！』

煉獄が私の刀を取り戻すために向かっていった。

あいつはそれを楽しそうに笑いながら避け、殴り掛かる。

拳が空を切る音がこちらまで聞こえてくる。

どれだけの威力なんだ、

杏「肆ノ型_盛炎のうねりッ！！」

地面を蹴り、煉獄から距離をとる。

そして、

猗「破壊殺」

杏「伍ノ型_炎虎ッッ！！！」

猗「乱式ッ！！！」

煉獄と猗窩座がぶつかり合う。

爆風や熱気がこちらまで襲いかかってくる。

暫くすると、砂埃が落ち着き、距離を取りながら睨み合う二人が現れた。

『れんご……はッッ…！！』

煉獄の名を呼びかけたが、あるものを見て言葉を失う。

一滴、二滴とポタポタと赤い液体が地面を濡らす。

震えが止まらない。

足の先から身体が冷えていく。

一生懸命呼吸をしながら傷の痛みを和らげようとしているのが見てわかった。

ダメだ、これ以上

煉獄には戦わせたくない。

私が、やらなければ

猗「…もっと戦おう。」

『ッ…！！』

そうボソリと呟く。

あぁ…腸が煮えくり返りそうだ…

これ以上…煉獄を傷つけるつもりか…、

猗「死ぬな。杏寿郎。」

黙れ。

猗「生身を削る思いで戦ったとしても、全て無駄なんだよ杏寿郎。」

黙れ。

猗「お前が俺に喰らわれた素晴らしい斬撃も、既に完治してしまった。だがお前らはどうだ。砕けた肋骨。傷ついた内臓。取り返しがつかない。鬼であれば瞬きする間に治る。そんなもの鬼にならばかすり傷だ。どう足掻いても人間では鬼に勝てない。」

煉獄の努力を馬鹿にするな、

あいつがどれだけ頑張ってきたか、