雨と炎は交われない弐【煉獄杏寿郎】 (ページ16)

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第六十話ページ16

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猗窩座の顔から笑みが消えた。

杏「何度でも言おう。麻友は俺のものだ。君と俺とでは価値基準が違う。俺はいかなる理由があろうとも、鬼にならない。」

猗「…そうか。」

やっと口を開いて出た言葉がそれだった。

そして、突然地面を殴りつける。

『ッ…！！』

猗「術式展開・破壊殺・羅針」

地面に大きな雪の結晶が広がる。

あの時と同じだ。

始まる。あの悪夢が。

刀を構え、煉獄の隣に立つ。

煉獄だけは、この身が滅ぼうが守り抜く。

猗「鬼にならないなら殺す。」

そう笑った瞬間、猗窩座から攻撃を仕掛けてきた。

刀で何とか応戦する私たち。

前より強くなっている気がする。

『雨の呼吸__ 漆ノ型驟雨の獄！！』

猗窩座の両腕を斬り落とす。

猗「流石だァ！前より遥かに磨きがかかっている…！」

私に迫り、顔を近づけ興奮気味に叫ぶ。

『だ、まれッ！！！』

刀で何とか押し返し、距離をとる。

私が折角斬った腕をもう再生してしまった。

杏「麻友！！『煉獄前を見ろッ！！』っ！！」

猗「今まで殺してきた柱たちに炎はいなかったな！そして、俺の誘いに頷くものもなかった。雨将も言うまでもなくなァ！」

『穢れた分際で父上の名を呼ぶなッ！！！』

地面を蹴り、高く飛び上がると猗窩座に向かって刃を振り下ろす。

頸を狙ったが腕で庇われてしまった。

猗「何故だろうなァ？同じく武の道を極める者として理解しかねる！選ばれた者しか鬼ににはなれないというのに！」

そんな戯言を言いながら迫る猗窩座の腕を煉獄が斬り飛ばす。

それも虚しく、猗窩座はすぐに再生させ次の攻撃をしかけてくるのだ。

煉獄が猗窩座の攻撃を正面から受けている間に、私は背後に回って頸に刃を振りかざす。

その瞬間ぐるりと私の方を向き嬉しそうにニヤリと笑い、もう片方の手で防がれた。

『くッ…！！』

猗「素晴らしい才能を持つ者が醜く衰えていく。俺は辛いよ。耐えられないッ！！」

煉獄が距離を取ったと同時に私に迫り来る猗窩座。

私に向かって突き付けられる拳を刀で防ぐ。

グッと顔を近づけてきたと思えば、囁くようにこう言った。

猗「死んでくれ麻友。若く、美しく強いまま…」

全身に鳥肌が立つ。

『ッ黙れッ！！』

私は恐怖を断ち切るように猗窩座を斬り裂いた。