第四十六話 ページ2
*
煉獄が持ってきてくれた酒と、私が用意した酒で私たちは晩酌を始めた。
今日は良い天気で月も綺麗に見える。
『…不味くないか?久しく料理なんかしていなかったから、自信が無い』
杏「ん?十分美味いぞ!流石は麻友だな!」
わっしょいわっしょいと訳の分からないことを言いながら私が作った料理を次々と完食していく。
嬉しい。
母上も、昔はこんな気持ちになったのだろうか。
『ふふっ…良かった…』
猪口に注がれた酒に月が反射してとても風情だ。
こんな穏やかな日がずっと続けば良いのに…
杏「何故、今日俺を誘ってくれたんだ?」
月を見上げながら煉獄が言う。
『…この間、胡蝶たちと談笑したんだ。その時…色々背を押されてな…。一日一日を大切に生きていこうと思ったんだ。私達は、いつ死ぬか分からない。明日が来るとも限らない。だから、今の気持ちを大切に生きようと、思った。』
杏「…それは、俺へと返事として受け取って良いのか?」
『…正直、まだ不安だ。お前が居なくなってしまうのではないかと、情けないことに毎日怯えている。鬼殺隊として、柱として…命を捧げて当然なのに。』
杏「…」
猪口の縁をなぞりながら心の内をゆっくりと話していく。
私に耳を傾けながら酒を飲む煉獄も穏やかな表情をしていた。
『前にも言ったが…私は煉獄が好きだ。愛しいと思っている。お前が他の女性といるところを見ると、苦しくなる。お前の隣は私がいい。後悔は、もう二度と、したくないんだ…。だ、から…煉獄…私とこ「麻友」…!煉獄…?』
煉獄は、猪口を床に置くと私を片腕で抱き寄せた。
杏「それ以上先は男の俺に言わせてくれないか」
『…!』
杏「麻友、俺の恋人になって欲しい。君と、添い遂げたいと思っている。きっと必ず幸せにするから、俺の元に来てくれるか?」
真剣な顔をしながらも、表情はとても穏やかで…
それに応えるように私も微笑み頷いた。
『私のような人間で良いなら、よろしく頼む』
私の返事を聞いて、煉獄は嬉しそうに笑った。
杏「愛している」
『…私もだ。』
今夜は月が綺麗だ。
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時