第五十八話 ページ14
*
『…!』
汽車の外に出れば、横たわり、腹を押えながら呼吸を繰り返す竈門の姿がある。
やはり無傷とはいかなかったか…
煉獄と私は顔を見合わせると、彼の元へ駆け寄った。
杏「全集中の常中ができるようだな!感心感心」
『その傷、鬼にやられた訳では無さそうだな』
炭「煉獄さん…麻友さん…」
人間にでもやられたか。
あらかた鬼に唆された人間だろうな。
杏「常中は柱への第一歩だからな。柱までは一万歩あるかもしれないがな」
炭「頑張ります…っ…」
『腹部から出血しているな。余計なことを考えずにそこだけに意識を持っていけ』
苦しそうに顔を歪め、呼吸を繰り返す。
杏「血管がある。破れた血管だ。」
炭「はッ…はぁッ…はぁッ…」
「『もっと集中しろ』」
私も会得するまでは辛かった。
痛みと苦しさに耐えなければならなかったからな。
竈門はゆっくりと目を閉じ、集中を始める。
…見つけたか。
杏「そこだ。止血。出血を止めろ。」
炭「くぅッ…ぐッ…ゔッ…」
そんな様子を見兼ねてか、煉獄が竈門の額に指を置く。
杏「集中!」
炭「ぐ、ッ…ぁぁッ…ぐぁッ…はぁッ…はぁッ…はぁッ…!」
止まったな。
『偉いぞ竈門。』
杏「うむ!呼吸を極めれば様々なことが出来るようになる。なんでも出来るわけではないが、昨日の自分より、確実に強い自分になれる。」
炭「…はい…っ…」
竈門の言葉に、煉獄が微笑む。
優しく竈門の頭を撫でた後、私は煉獄と竈門の二人きりにさせようと立ち上がる。
男同士で話すこともあるだろう。
しかし、その瞬間…聞き覚えのある大きな音と共に地面が揺れた。
「『!!』」
霧の中から見える目玉には、
『ッッ!!上弦のッ…参ッ…!!!』
私はすぐに柄に手をかけ、煉獄たちの前に立った。
何故、ここに。
まさか…煉獄を…?
『ッ…させるか…』
煉獄も私の後ろで黙ったまま柄に手をかけている。
目を細めたかと思えば、一瞬にして消える。
くるッ…
しかし、狙いは竈門。
『ッ…!雨の呼吸_ 肆ノ型 暴れ梅雨ッ!!』
竈門の顔に拳が当たる前に、私が斬り裂いた。
私たちから飛び退き、距離をとるとニヤリと笑って腕を再生させた。
相変わらずの速さだ…。
猗「麻友じゃないか。やっと会えたな。』
今度こそ絶対仕留める…
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時