第四十四話 ページ48
*
胡蝶たちと女子会とやらをした日から、彼女らに言われたことを意識するようになった。
実のところ、煉獄に真剣に気持ちを伝えられた時から気にはしていた。
このままの関係で、どちらかが死んだ時後悔する。その言葉がずっと耳残っている。
その通りだ。でも逆に言えば、仮に恋仲になって…どちらかが死んだ時、残された方は心に深い傷を負ってしまうということ。
私は父上と母上、そして弟の志雨を失っている。
煉獄は母上の瑠火さんを失っている。
私たちはお互いに大切な人間を失う怖さを知っているんだ。
もしかしたら私が先に死んだ場合、煉獄は一時悲しんですぐに前を向こうとするのかもしれない。
煉獄は強いから、その覚悟が出来ているから私に思いを伝えてくるのかもしれない。
でも、私は出来ない。
柱である前に、私も人間だ。
大切な人を失って、前を向けるほど出来ていない。
未だに父上や母上、志雨の死を受け止められていない。
柱のくせに情けない。そんなので人を守れるのか。そう言われてしまうのかもしれない。
きっと、父上もそう言うだろう。
何を言われても、無理なものは無理なんだ。
自分が下を向いてしまうことを分かっているからこそ、その先の関係に進むことが怖い。
煉獄を失う?そんなこと、考えたくもない。
私の家、雨辻は子供に生誕日を教えない風習がある。
理由は、生誕した日を知った子供は早くに死ぬと言われているから。
ついでに、雨が降る日に生まれた子供は雨に忌み嫌われる、という伝承があるらしい。
幼い頃、生誕日は教えて貰えなかったが、私はその雨の日に生まれたと聞いたことがある。
今思えば、雨の日に限って私自身や、私の身近な人間や仲間が死んだり傷ついたりする。
伝承は本当なんだと嫌でも思い知らされたさ。
煉獄のことが好きだ。
仲間以上の関係になりたいとも思っている。
このままどちらかが死んで後悔もしたくない。
けど、恋仲になった後傷つくのも嫌だ。
私たち鬼殺隊には、明日が来るとは限らない。
だからこそ、一日一日を大切に生きなければならない。
これから先、何があるかなんて誰もわかりやしないのだから。
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時