4. る ページ4
姉さんがなんでもいいから食べなさい、と下から言うけど聞かないふりで布団を被る。雑音を入れたくなかった。何かを視界に入れたくなかった。耳を塞いで目を閉じて、ついでに心も閉じてしまって気づけば寝ていたが昨日の生々しいあの光景が頭から離れずに朝を迎えた。
ずきりと、体のどこかがいたんだ気がした。
朝、いつの間にか待ち合わせ場所になっている分かれ道でAが待っていた。
俺を見つけておーい、なんてブンブンと手を振っている。
｢おはよ焦凍。｣
｢……おはよう｣
にっこりと昨日のことなんか無かったかのように笑って俺に挨拶をする。悩んでいた自分に馬鹿らしくなって、泣きたくなって我慢した。
Aのいつもより抑揚のない声にも浮かれない表情にも触れず、何も話さず学校に着く。
ざわざわといつものように騒がしい教室は、すうっと俺の悩みをかき消していた。
ちらりとAを見ればいつもと同じ顔で抑揚のある声をだしておはようと言っていた。
今日はヒーローネームを決めた。前にもこんなことがあった気がするが夢だっただろうか。思い出す風景にまた違和感を覚えながら俺はショートというヒーローネームを付けた。爆豪は、夢の中では爆殺王とか決めてて却下されて、緑谷はデク。そう考えながら授業を受けたが、本当にその通りになった。
…クラスメイトのヒーローネーム、決まる前に全部頭に浮かんだ。
Aのヒーローネームは【ファントムガール】。幻。ドリームと迷っていたがファントムのほうがかっこいいと言う。
だが一つ、気になることがある。
それを聞こうとしたが、先に上鳴に聞かれていた。
｢ファントムってAの個性に関係なくね？｣
｢ほら、本当なら物、壊れちゃったら直らないでしょ？私だったら直せる。壊れたことを幻に出来ちゃうんだよ。だからファントム。｣
｢なるほど、頭いい！｣
ドヤ顔してそう言っていた。
再生って意味のプレイバックじゃあ可愛くないしね、とミッドナイトもAもいっていた。女子のカワイイが理解できない。
…あれ、Aのヒーローネームってこの前【ドリーミー】に決まらなかったっけ。
気の、せいか。
授業が終わり、ヒーローネームで喜んでいるクラスメイト。Aもその1人でファントム、ファントム、と連呼していた。
俺もその中の1人。俺はヒーローになれるのだろうか。何一つ守れない俺は、ヒーローになれるのだろうか。
今日、Aは死にたいと、言わなかった。
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緋色 - 他の読んだことのない作品、全て読ませていただきました。切なく美しいオチの作品ばかりで思わず涙腺緩みました…これからも頑張ってください！！ (2018年10月5日 22時) (
レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます！！来世で結ばれますように！！ファンなんて…！！！感謝感激です！！よろしければ他の作品も読んでみてくださいね！ (2018年10月5日 11時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - こんなに素晴らしい作品をありがとうございます…夢主と轟くんが来世で結ばれることを祈っています！これからも頑張ってください！！大大大ファンになっちゃいました…これからもにゃんさんの作品を楽しみにしています！！！これからも頑張ってください！！！ (2018年10月4日 23時) (レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 分かりやすく説明してくださりありがとうございます！意味が分かりました！切ない話ですね…夢主は自分の身を犠牲にしてまで轟くんを助けたかったんですね…意味わかった瞬間泣いちゃいました…占ツクでこんなに泣いたの初めてです… (2018年10月4日 23時) (レス) id: 04ecd32bcd (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - なれた。好きな人を、轟くんを守ったヒーローになれたと、伝えました。。こんなところでしょうか。知りたいところが違ったらすみません！また教えていただけたら説明いたします！ファンだなんて！！ありがとうございます！！ (2018年10月4日 22時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん | 作成日時：2017年6月23日 20時
