19.私はやっぱり ページ20
爆豪の作った卵粥は私の手を止めることを許さないくらい美味しかった。
あっという間に無くなってしまって、体もぽかぽかしてきた。
……外の気温は35度越えのはずなのに、部屋の温度は丁度いい。
｢熱中症だとは思うが病院は行っとけよ｣
熱中症は死ぬ可能性があるからな、と私を見ないでいった。若干耳が赤いのは恥しいからだろうか。
でも、これだけは言わないと。
｢ありがとう爆豪｣
｢……ふんっ、自分の体くらい管理しやがれ｣
爆豪でさえも、心がぽわっとなるんだな、と個性を使って思った。
慎ましい喜びの黄色いスミレが咲いた。
そういえば爆豪の格好はヒーロースーツ。
パトロール中だったか。それは急いで仕事に戻らせないと、とまたお礼をいって、仕事に行かせた。
いつの間にか額に貼られていた冷えピタが落ちそうになる。
爆豪の姿が見えなくなると、私はそこに座り込んだ。
爆豪がいなくなって、ひどく孤独感を感じた。
玄関にある、全身鏡に私が写っている。
自分に個性を使ったことは無いが、今なら、成長した今なら使えるかもしれない。
私の中には無情な程に、花は少なかった。
数えるくらいしかない花。
私は、どれだけの自分の花を殺してきたんだろう。
人の花も、自分の花も関係なしに傷つけてきた。
それが今、爆豪によって懐柔されようとしている。
たくさんの花が咲き誇ろうとしている。
何よ今更。
あなただってたくさん傷つけてきたくせに。
バカ、馬鹿、ばか。
いつしか鏡に映った自分は、涙でぐちゃぐちゃだった。
どうすればいいのかわからない。
自分の気持ちがわからない。
歯がゆい。申し訳ない。ごめんなさい。
……なんて。
ねぇ爆豪。私はやっぱり、あなたが嫌いよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 253人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*** - にゃんさん» 【花言葉 誕プレ】で検索すると、それらしきサイトが出てきます。「スノードロップの花を贈るのであれば、スノードロップの花言葉を知ったうえで贈るべきです」みたいなことが書いてあるサイトです。個人的に重宝しているサイトです。よろしければどうぞ。 (2017年10月30日 10時) (
レス) id: 4636ddc446 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ***さん» ご指摘ありがとうございます！そうだつたんですか…一応ぐーぐる先生で探し回りましたが…。スノードロップの花言葉は素敵ですね。そんな素敵な花言葉のある花をを使ってしまうとは…。直してきますありがとうございました！かっちゃんかっこいいですよね！！！ (2017年10月30日 8時) (レス) id: e7a720d445 (このIDを非表示/違反報告)
*** - 長文失礼しました。この作品自体はとても素晴らしいものだと思います。かっちゃん格好いいです。 (2017年10月30日 8時) (レス) id: 4636ddc446 (このIDを非表示/違反報告)
*** - スノードロップの花言葉は【希望】です。ですが、イギリスでは、スノードロップは死を連想させる花のようです。イギリスでの花言葉【死】と日本での花言葉【希望】を混ぜてしまって【あなたの死を望む】と捉えている人が多いだけで、【あなたの死を望む】は間違いです。 (2017年10月30日 8時) (レス) id: 4636ddc446 (このIDを非表示/違反報告)
SoRa(プロフ) - にゃんさん» 優しいお言葉ありがとうございます。ですよね…すみません…。いえいえ、読み方的には一気読みという形になってしまいましたが… よろしいのでしょうか？こんな私でよろしければ、全身全霊で描かせて頂きます！次作本当に、楽しみに待っております。 (2017年10月10日 21時) (レス) id: 84e9032e18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃん | 作成日時：2017年7月26日 20時
