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「Aさ、最近ほんと可愛くなったよね」
休日のファーストフード店。ガヤガヤとうるさいそこに友人の声がやけに大きく聞こえた
「もしかして、好きな人とかできたの?」
『好きな人……かなぁ…?』
おめでとう、と友人から言われるもののAには好きだ、という実感はなかった
彼女は生まれてから一度も恋人ができた事がない。しかも好きな人もできた事がなかった
恋愛に程遠かった
しかし志摩の声が好きだとか、志摩の落ち着いた雰囲気が好きだとか。初めて一目見た時から、なぜかよく夢にまで志摩が出てくるのだ。自分で見た夢で真っ赤になったのが恥ずかしい
コーヒー豆を渡してしまったが、あの後に志摩から微笑んで感想と礼を言われた時にはとても嬉しかった
夢のことは話さず、その事を話せば友人はそれはその人のことが好きなんだと言ったのだ
好きだと実感すればするほど、恥ずかしい
あの時に、話しかけてみたものの本当に良かったのか
軽く手を振ってくれるのは私だけに振ってくれているのか
店長によれば、志摩はあまり話さない。志摩の名前を知ったのは、強盗に遭いそうになった時に助けてもらったときだったらしい
Aは思った
なぜ、自分の名前を尋ねたのだろうか。
自意識過剰でもいいからと、相手も自分のことが好きであってほしい
「顔、真っ赤」
にやりと口角を上げる友人に言われ、頰を触る
「どんな人なの?その人」
『声が優しくて、雰囲気が落ち着いてて、たまに笑う顔がカッコよくて……大人の男性なの』
Aは少しだけぬるくなったコーラを一口飲む。そして、冷えたポテトを一本手に取った
「いいじゃん、やっとAに好きな人ができて!私応援する!恋愛相談いつでもして!」
『うん、ありがとう』
手を掴む友人に微笑んで応えた
彼女の鞄の奥底にある物を、Aは気付かなかった
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黒万ス(プロフ) - seaさん» ご心配おかけしてしまいました…。復元により戻る事ができました!! (2020年9月24日 21時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
sea(プロフ) - お初にコメントします。 バグ解決されたようで良かったですね、私は以前戻らなかった事があったので大丈夫かなと勝手に心配しておりましたが、安心しました! (2020年9月24日 15時) (レス) id: 191a0b574b (このIDを非表示/違反報告)
黒万ス(プロフ) - 結さん» 誤字の指摘ありがとうございます! (2020年9月24日 7時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
結 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
結 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 16のここの台詞 『志摩さんが出勤するまででいいので…少しだけでお家デートして欲しいです』 これ正しくは少しだけお家デートして欲しいですではないんでしょうか? (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒万ス | 作成日時:2020年9月14日 22時