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「Aさん、ベッドに行きますよ」
『ん……あれ、志摩さん?』
目を擦り、志摩がお姫様抱っこしているのに気付くまで数秒。真っ赤になっていく顔。お姫様抱っこが高く感じ、怖いと思ったのか志摩に抱きついている。
『志摩さん、怖いです、高い』
Aの赤くなったら青くなる顔や怖がっている様子に志摩はつい笑ってしまった
『志摩さん!』
「ははっ、またデジャヴだ」
からかうように笑う志摩にAはそっぽを向いた。18歳も歳の差があるのだから仕方がない。相手は大人なのだと、そして自分は子供なのだと。
実感できるのは、一人になった時に何も出来なくなる事だった。家も借りれない、アパートも借りれない、親がいなければ何も出来ないのだ
『早く大人になりたいです』
Aを床に下ろすとそっぽを向きながら独り言のように呟いた。しかし、志摩はそれを聞き取れ頰が緩む
「そんなに早く大人にならなくても、今を楽しんでいかないと、後悔しますよ」
『後悔してもいいんです!早く志摩さんと……』
はっとAは口を抑えた。このまま言ってしまえば、志摩は困り果てて自分のことを嫌いになってしまうのではないか?
志摩だって我慢しているんだ、手を出さないように我慢してくれているのに、自分から手を出してどうする?
Aは、静かな部屋の真ん中で志摩に向き直る
『志摩さん、明日の夕方から官舎に行くので…今までありがとうございました、おやすみなさい』
「おやすみ」
頭を下げて、寝室へと入っていくAを見送ると志摩は口からため息が溢れた。
危なかった、あのまま言われていれば手を出してしまっていた。ソファーにもたれ掛かり一度顔を抑えて、離す。
好きなんだと、言いたい。好きだから、好きだから…もっとそばにいてほしい、もっと話したい、もっと甘えてほしい。
強がらなくていいからと、志摩の身分から言えるのかそれとも言ってもいいのか疑問に思っていた。
【歳の差、いいかもね】
桔梗に言われた言葉を思い出す。
あれは桔梗は確実に、志摩の想いやAの想いがわかっている。
誰かが助言をしてくれたら、この胸の奥の苦しさは無くなるだろう。
募っていくこの想いに志摩のため息だけ溢れた
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黒万ス(プロフ) - seaさん» ご心配おかけしてしまいました…。復元により戻る事ができました!! (2020年9月24日 21時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
sea(プロフ) - お初にコメントします。 バグ解決されたようで良かったですね、私は以前戻らなかった事があったので大丈夫かなと勝手に心配しておりましたが、安心しました! (2020年9月24日 15時) (レス) id: 191a0b574b (このIDを非表示/違反報告)
黒万ス(プロフ) - 結さん» 誤字の指摘ありがとうございます! (2020年9月24日 7時) (レス) id: 157648a083 (このIDを非表示/違反報告)
結 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
結 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 16のここの台詞 『志摩さんが出勤するまででいいので…少しだけでお家デートして欲しいです』 これ正しくは少しだけお家デートして欲しいですではないんでしょうか? (2020年9月24日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒万ス | 作成日時:2020年9月14日 22時