お洒落な珈琲

17 甘えること ページ17

今どきのお家デートとは？

というか、付き合っていない男女のデートとは？



志摩は隣に座るAを見て思った。18歳も離れていればジェネレーションギャップがあるが、Aは違うのだろうか？

デートなんて、と声を出したところAはいたずらっ子のように笑いながらも
〔私が手を出すのなら、問題はないでしょう？〕

と言ったのだ。これに、志摩は何も反論は出来なかった。いつのまにか、Aは志摩の上手を行っていた


そして今、彼女はクッションを抱きしめながら、海外の有名ホラー映画を観ているが…これは昔と変わらない気がした。
だが昔はディスクを挿入して観るタイプの映画が多かったが、今はスマートフォンとテレビを繋げればすぐに映画を観れる。


テレビ画面が暗くなりそこに映るAと志摩
驚かしにくると気づく志摩と、わからないA


怖いけど、手の隙間からちらりと映像を見ている。まるで小動物だ

それを見て、ふっと笑いが溢れる


『志摩さん、なに笑ってるんですか』

「いや、Aさんが面白くて」

Aはちらっと志摩を見て頰を膨らませる

『映画に集中してください』

「はいはい」

リスのようなAが、とても可愛らしい。
続きを観ていると、クライマックスに差し掛かっているのかホラー要素が増している。急に出てくる殺人鬼に主人公の少年少女たちは逃げ惑う


ふと気づいたのだが、右側の腕が温かい


Aがぴたっと、志摩にくっ付いて映画を観ているのだ。志摩はAの横顔を盗み見れば、怖いのだろう目を薄らと開けて観ている



そして志摩は感じた。



本当に恋人のような心情になっていることに。


隣にいるAを可愛いと思えたり、手を繋ぎたいと思ったり、薄紅色の唇を奪いたくなったりと、思わず恋人が隣にいると錯覚してしまう



違う
恋人でもないし、相手は高校生で、自分は警察官だとそう意識する


'手を出してはいけない'


相手からは、どうなのか…？


ぎゅっと握られる手に、志摩ははっとしてしまう。小さな女性らしい手が志摩の手を握っている


相手からなら、問題ない…


そう思いながら、複雑な心境で映画を観た

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