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最終話 Takuto side ページ32

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Takuto side



今日の朝からAの事しか

考えられなかった。




部活もろくに集中出来なくて、

でもそんな俺を皆はそっとしておいてくれた。



部活が終わって、荷物を取りに教室に戻った。




「はぁ。」




俺のため息が教室に響いて、消えてゆく。



夕日が綺麗で、写真に収めた。

携帯をしまおうとしたら、視線を感じて



後ろを向くとAがいた。




「おー、Aか。やっほ!」



自分でも分かるくらい引きつった笑顔で

そう言った。




するとAは“ごめん”と言って

泣き出して、しゃがみ込んだ。




「泣かないでよ」



それしか思い浮かばなかった。


そんな事を言いつつも、

Aが泣く姿が綺麗で見とれていた。

暫く見とれているとAは、



「私ね、私、タクトに初めて会った時は
チャラい人だなって思ってて、でも、
席隣になって、一緒に学校行って、
一緒に笑って、一緒に喋って、タクトと
いると、時間が短くなって……」





黙ることなく言う。






俺はもうAと俺の気持ちは
同じだなって分かっていた。
それなのに、俺は臆病だった。









「タクトは人気者だしかっこいいし
私はタクトに釣り合わないって分かってる。
分かってるけど……でも 私!」






俺は“その言葉”を遮った。









「俺さ、最初お前に会った時
なんだこの無愛想な女って思ったの。
でも、話してくうちに面白いAも、
可愛いAも、怖いAも、
色んなAが見れて凄い嬉しかった。」







本当にズルくてヘタレな
すぐ保険をかける自分が嫌になった。
でも、あそこまで言わせたんだから次は
俺が言わねぇとな、と心に決め







「Aが俺に冷たくなったの一瞬だけど
すげー長く感じた。それぐらい
Aの事好きなんだよ。

俺、女遊びやめるし、嘘だってつかない。
Aの事だけを愛し続ける。
だから、こんな俺でもよかったら
俺と付き合ってください。」





俺が言うとAは







「もちろん!」





そう言って俺達は抱き合った。









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ありがとう、A。





俺から女遊びを消してくれて





俺から作り笑いを消してくれて





俺から嘘を消してくれて。




fin.

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作者名:いっけー | 作成日時:2016年8月19日 18時

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