電光朝露 ページ6
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「今日調子いいね〜少し走る？」
「うん！新しい靴もいい感じ！」
私たちは走ってた。
1番の楽しみで、ただただ好きで。
藍ちゃんはすっごく速くて皆んなの憧れだった。それはもうかっこよくて。
私は喘息とも戦いながらだったけど全く苦じゃなかった。
2人で賞もとって次は駅伝だーって練習漬けの毎日だった。
−−−−−−−−−−
クラスの1人が言った。
「Aがやったんじゃない？」
教室にあった花瓶が割れてて、手から血が出てる子が泣いていた。
その子を囲む様に座る集団が一斉に私のことを見た。
知らない。
何故花瓶が割れているのかも、貴方達が私を見てる理由も。
「お前がやったのか。」
「...っ私のじゃ」
「余計な問題を起こすな。こっちだってこんな騒ぎ堪ったもんじゃないよ。」
あぁ、無駄なんだ。
私の声はもう誰にも届かないんだ。そう思った時、
「俺です。いやーごめんね？ちょっと退かそうとしたら手すべっちゃってさ」
「なんだ伊吹なのか？どっちだっていいが今後やめてくれよな。」
「伊吹かよー」
視線が私から逸れることはなかったし寧ろ睨まれてる様な気がしてならなかった。
だけど大きな手が私の腕を掴みその場から逃してくれた。
「藍ちゃん...。ごめん」
「なんも悪くねぇ奴が謝る必要ないんだぜ？」
「でも...」
「でもも、なんで、もねぇーの。」
「...藍ちゃん」
「ん。大丈夫大丈夫」
何かあったら私が疑われてた日常は、この日を境に全て藍ちゃんになった。
「伊吹だろ」
「伊吹じゃないのか」
「藍ちゃんじゃないです！私たちさっきまでトラックに居てっ...それでっ...」
「これからはもう俺たちの事信じてくれなんて言わないよ。ただ、俺たちも誰も信じない。
A行くぞ。」
私がもう何度目かも分からない弁解をしようとしたら藍ちゃんは目でもういいよと訴えていた。
私たちは分かってもらうこと以前に、聞いてもらうことすらも諦めた。
そして、私たちの恩人ガマさんに出会う大きな出来事が起きた。
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作者名：白兎 | 作成日時：2020年9月14日 22時
