・ ページ5
.
「あと、私麗子さんに相談したいことがあって...」
「あら、なにかしら？」
まだ誰にも話せてない私の今の病気の話をした。
ここ最近体調を崩しやすくなったこと、もし酷くなったら心臓喘息を引き起こすことがあると言われたこと。
「あの人と伊吹くんには...？」
「まだ、言えてなくて...。」
「そうよね。お医者さんはなんて？」
「ちゃんと警察を目指してるって話たらすぐどうなるって話じゃないって。
だから自分の病状を忘れず生活しなさいって言われました。」
「Aちゃん。貴方が気を弱くする必要はなにもないのよ、ちゃんと神様は見てくれているもの。」
「麗子さん……私なるよ...藍ちゃんとっ、ガマさんみたいに...助けるんだっ」
そのまま麗子さんは私をずっと抱きしめててくれた。
何も言わず、優しく頭を撫でてくれて。
しばらくして私が落ち着くと、
「Aちゃんにこの街を守ってもらえる私は幸せものね。きっと世界一暖かい街になるわ。」
脳内に渦巻いていた"もし"の言葉は消えて無くなっていた。
皆がいてくれているとどんなに分かっているつもりでも、どこか光が見えなくて彷徨っていた私の手を麗子さんは掴んでくれたんだ。
「麗子さーん！俺ちょーいいもん買ってきたよ！」
「まぁ伊吹くんもきてくれたのね」
「あったりまえでしょー？
めっっちゃいい匂い、さいっこう」
不意に現れた藍ちゃんに思わず背を向けてしまう。
でもきっと藍ちゃんには気づかれちゃう。
「はーいこれ、もちもちアイス。好きでしょ？」
「…うん」
「ん、甘いもん食べると頭良くなるらしいぞ」
「…そんなの聞いたことないよ」
「信じてればなんでもそーなるってもんよ、な？」
あぁ。敵わないな。
きっと病気のことも気づいてるのかな。
ポンポンと頭に乗せられた手は麗子さんとは全く違く、大きくてゴツゴツしてた。
でも同じ暖かさがあって藍ちゃんにまで縋りそうになってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白兎 | 作成日時：2020年9月14日 22時
