人殺しと呼ばれたアメリカ帰りの天才を優秀と野犬は好きになる MIU404 パート2 (ページ11)

今日:13 hit、昨日:24 hit、合計:9,542 hit

2 ページ11

〜A〜

伊吹｢よっ。相棒殺し｣

突然、伊吹くんがそんなことを口走った

志摩くんだけじゃない。陣場さんも九重さんも緊張が走ったかのように動きが止まる

振り向いた志摩くんの表情はいつもより怒ってるようにも見えた

伊吹｢お前のことをそう言ってる奴がいんだよ。何の話しかなと思って｣

志摩くんは何も答えない

答えないまま行こうとする

伊吹くんに悪気なんてない

それなのに、｢相棒殺し｣という言葉に、次々と記憶が浮上する

『そんなに手柄が欲しかったのか！？』

『すまな……っ、俺のせい……なのか……？』

『どうして……。お前ならもっと上手くやれただろう』

色んな感情をぶつけられる

誰よりもボスが一番、泣きそうだった

あの人は私にどんな言葉を期待していたのだろう

少なくとも、あんなバカみたいな提案でなかったことは確か

陣場｢余計な話しを広めんな｣

慌てて志摩くんを追いかける伊吹くんの頭をバインダーで叩く

九重｢本人に直接聞くなんて｣

伊吹｢相棒殺しってアレでしょ？ボケ殺しみたいな、鬼殺しみたいな。まるごとメロンパンにメロン丸々1個入ってないみたいな｣

九重｢志摩さんの相棒が死んでるの本当ですよ｣

伊吹｢はぁ？｣

九重｢事故かじさつか他殺か。よく分からないって｣

ふーん？そうなんだ

現役の刑事が不審な死を遂げてるのに、死因を解明しないのは引っかかる

2013年8月8日の未明狛江市平羽で男性の遺体が発見された

男性は警視庁捜査一課所属の、香坂義孝巡査部長

転落死と見られる場所は香坂刑事の自宅があった雑居ビルの敷地内で、遺体を発見したのは同僚の刑事

香坂刑事の遺体は靴を片方しか履いておらず、もう片方の靴は屋上に残されていた

近くにはウイスキーのボトル

九重さんの説明をしれっと後ろで盗み聞く

酒に酔った転落死事故の線が濃厚

それなのに、じさつか他殺の疑いもある

九重｢聞いた話しですが、香坂刑事は酒が飲めなかった。しかし体内からは大量のアルコールが検出され、遺体から香るほどだった｣

誰かが飲めない彼に無理やり飲ませて突き落とした？

それはちょっと無理がある

なら、じさつはどこから？

現職刑事が命を絶つほど思いつめていた

一体なぜ……？

九重さんの話しだけでは推理がまとまらない

いや……もう終わってること

志摩くんも触れて欲しくなさそうだし、考えるのはよそう