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苦労人 ページ25

「...もうそろそろ入らないか。」


少し困り顔の彼


困り顔なのも無理はない


なんせⅮ機関本部に到着したものの、私が一向に中に入ろうとしないからだ


別に佐久間さんを困らせたいわけではない


ただすんなりと入れない、そんな勇気がない


ここで入ってしまったらもう二度と出してもらえないのではと裏のない考えが湧き出るのだ


「怒ってますかね...三好さんたち。」


「怒ってない...とは言いきれんし、何を言われるかはわからない。

だが今ここで立ち止まっていても何も始まらない、違うか?」


違わない


彼は間違ったことをいっていない


ただ私が一歩前に踏み出さないだけで、佐久間さんはただタイミングを待ってくれている


しかし、そんな二人を彼らは待ってくれないわけでして



ガチャリッ



音を立てて開いたドア


そこにはコートを着た8人の青年たち


「「あっ」」


佐久間さんと彼らの重なる声と安堵の目


「...取り合えず、中に入りましょうか。」


そうして私は強制的に再びこの建物に足を踏み入れるのだ







.







入って早々、食堂まで連行させられたと思えば目の前にはあったかいご飯


みんなコートを脱いで、食事に手を付けていく


そしてキッチンからの視線


「食べないのか?」


そういう福本さんの目は完全に「食え」と私に命令していた


視線が痛いので取り合えず白米に箸を進める


口に含み、彼を見上げると口が緩んでいた


先程までのあの目が嘘のようだ、何故そこまで私に食事を?


彼の気に障るようなことをした覚えがないのだが


と言うか、不自然なまでに何も聞かれない


同じく食事をとっている佐久間さんもこちらに視線を送ってきたりと、少々気まずい


どうしようかとキョロキョロしていれば真正面に座る神永さんと目があった


すると彼はニコッとしてウインクを飛ばしてくる


え、何で?


あからさまに引いた顔をしていたら、急に正面右の小さいのが笑い出した


「はははっ!神永振られてやんのっ。」


周りの奴らからも口にはしないもののクスッという笑い声がして


少しムッとする彼


「うるっさいな、少なくともずっと黙っているお前らよりはましだよ。ねぇ、Aちゃん?」


「あ、あははっ...。」




私に同意を求められてもと、乾いた笑いがこぼれるが


それは波多野のツボを更に押しただけだった



せめてもの思いで佐久間さんを見ると頭を押さえている


あなたはとんだ苦労人のようですね

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ちーたん - おおお、お、おわおわわ終わってないですよね!? (2017年9月13日 0時) (レス) id: ce5d38f4dd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 玲璃さん» このすれ違いにいつ終止符がつくのやら...。コメントありがとうございます、これからも頑張りますのでどうぞよしなに。 (2017年1月19日 19時) (レス) id: 89bb154307 (このIDを非表示/違反報告)
玲璃(プロフ) - 盛大にすれ違っている笑 とっても面白いです、D機関の人たちも無理のない推理をしていてとっても好きです!更新頑張ってください! (2017年1月18日 23時) (レス) id: 643c6ecefb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 泡雪さん» そう言っていただけてとても嬉しいです!これからも頑張らせて頂きます。 (2017年1月9日 16時) (レス) id: 89bb154307 (このIDを非表示/違反報告)
泡雪(プロフ) - 凄く面白いです!めっちゃ理想の小説!!更新頑張って下さい! (2017年1月9日 10時) (レス) id: 7d02119552 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年7月3日 17時

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