続々々・妄想短編集【ジョーカー・ゲーム】

佐久間・小田切：転生逆行１０：ラスト ページ30

《小田切side》


そして戦争は終わった。

何とか拾った日本の電波じゃ大事なところも途切れ途切れだったけど。

終戦記念日は、８月１５日のままだった。



何だかとても拍子抜けした気分だ。

これですべては終わり、しばらく日本は落ち付かないだろう。



「はぁーーーー」

「なんか、力が抜けたみたいだ」

「ああ。俺たちの知っている限りの知り合いは、

　生かせるだけ生かしたもんな」

「もう、撃たれて死ぬやつなんて、」

「きっといない」

「はぁーーーー終わったなぁ……」




『終わった』という言葉が、何とも言えない余韻を残し、

俺たちは神妙な表情で顔を合わせた。



「『終わった』……？」

「ああ、『終わった』……だろ」

「今猛烈に、この体と精神の不一致を感じているんだが」

「奇遇だな、俺もだ」



終わった、から。

これも、もう終わり、なのか。



「妙にしっくりくるな」

「終わるっていうか、帰るっていうか」

「じゃあ、何か書き残しとく？」

「んー、あ、『鰯頭(笑)』で」

「えーじゃあ『これは貴様の事件だろうが(笑)』で対抗しよ」

「なんだそれ」

「三好に言われた」

「お前もかよ」


(笑)。



書くことかいたら意識が遠のき始めた。



だんだん目の前の佐久間が違う人間になっていくような錯覚に陥りながら、

きっとこいつも同じ事思ってるんだろうなと思いながら、




俺は大学の講義室で目を覚ました。






「……あ、現代だ」





ぽつり。





隣では佐久間が目を覚ましていた。






「あぁ……ただいま」





ちょっと、周りの視線が痛い。半分くらい寝てるけど。




【あれ、夢だったのか？】

【にしては随分と】

【現実的な】



目線と身振りで会話を交わす。



「あー、じゃあそこの２人、この後これを運ぶの手伝ってくれるかい？」

「「あ、はい」」




そして俺たちは同時に気づく。


この教授がやけに綺麗な顔をしていることに。


そして＿＿彼の苗字が三好であることに。




「……バタフライ現象？」

「って程でもないだろうけど」

「でも」

「……凄いな」




まさかこんな所に帰って来るとは。


俺たちは顔を見合わせて苦笑した。






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
三好教授は三好の子供か孫だと思っています。多分孫かな

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