さくみよ:再会4 ページ41
僕は今花見に来ていた。
部長の有崎さんの提案により、場所は九段下の千鳥ヶ淵公園。
あまり馴染はないはずなのに、妙にしっくりくるというか、
有体に言えば懐かしい感じがする。
何故かとても泣きたい気持ちになる。
「三好ー乾杯するぞー」
先輩の声。
「はい、今行きます」
桜の匂いと共に、遥か昔に嗅いだことのある香りがふわりと漂って。
目尻に意味不明な涙が溜まるのを感じながらビールを流し込んだ。
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ああ、ここも変わってしまったと、思った。
「……あの時は、もっと」
『あの時』?いつのことだ。でも、前は、もっと。
「もっと、綺麗に見えた」
「そうなんですか?」
「ああ。それがいつだったかは分からないんだが……うぉっ!!田崎か!!
驚かせるなよ__」
「すみません。別に驚かせるつもりはなかったんですけど」
「はぁ……」
「ところで、佐久間さん。僕、ちょっと古いものを持って来まして」
「古いもの?」
「ええ、昔のここの写真です。
まあ、比較対象としてはあり得ないくらい昔なので、
佐久間さんの言う『あの時』ではないんですが。
でも凄く綺麗なんですよ」
「見せてくれ」
「はい。これです」
目を、奪われた。
音が消えた。
目の前にはいつぞやの人影。
そのボルドー色の影はゆっくりとこちらを振り向き、
何か言ったようだった。
その顔が分からない。
口元しか見えない。
鼻から上が、霞がかって。
「__さん、佐久間さん。大丈夫ですか。
大分長い事これ見てぼーっとしてますけど」
「あ、ああ。……たぶん、これだ」
「はい?」
不思議そうな声と裏腹に、田崎の顔はそんな事微塵も思っていない。
なんなら俺の方が不思議そうな顔をしていることだろう。
「俺は、この時の九段の桜が、好きだったんだ。あいつと見た__」
「「あいつ?」」
俺と田崎の声が被った。
自分が何かを忘れているということを、
今になって俺はようやく自覚した。
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今書いてるのさくみよだけどはたさく(女)もいいなと思う今日この頃
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梅酒(未成年)(プロフ) - minori♪さん» 適度に滲み出る人間らしさがまた素晴らしいですよね。公式さんもショタ出してますしね!!乗っかる以外の選択肢を見つけられませんでした (2016年9月17日 20時) (レス) id: 402f3ade7c (このIDを非表示/違反報告)
minori♪(プロフ) - ショタも可愛いのに...、小田切 恐るべし。 (2016年9月17日 20時) (レス) id: fc9269d5d6 (このIDを非表示/違反報告)
梅酒(未成年)(プロフ) - レンさん» 小田切の汎用性の高い可愛さには私も常々癒されています。今日のテストの直前にも小田切を思い浮かべてモチベーションを上げました。一日最低五小田切。 甘利さん……敵が多いですね(笑) (2016年9月17日 20時) (レス) id: 402f3ade7c (このIDを非表示/違反報告)
レン - 梅酒(未成年)さん» あまおだがヤバイ。小田切可愛い。…だがしかし!!オイコラ甘利貴様、小田切が可愛いのは認めるが小田切は私の嫁だぁぁぁあああああ(`・д・´)やらんぞゴルァァア”ア” (2016年9月16日 22時) (レス) id: 981d585dc9 (このIDを非表示/違反報告)
梅酒(未成年)(プロフ) - レンさん» ちょっとpixivに神作者様がいらっしゃいまして……(笑) ……思い付きました!!あの二人をイチャつかせてやりましょう (2016年9月16日 15時) (レス) id: 402f3ade7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅酒(未成年) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/umeshu/
作成日時:2016年8月21日 11時